勝君の目覚ましく逞しく立派な成長を褒めつつ、レッシュさんに
逃げたって良いんです。
そう言ってあげたいけれど。
一度戦うと決めた男の子の覚悟を踏みにじる事は出来ないですし、なにより勝君の目標でもある鳴海お兄さんはまだ戦っている。
二人とも頑張っているのだ。
私も出来得る限りの事はしてあげたいけど。やはり何か嫌な感じがずっとしている。悪寒。そういうものを感じてしまうのです。
「(……そろそろお薬を貰いに行かないとなあ)」
次元の点を重ねて瞬間的に場所を移動する発明品『どこでもドア』を潜り抜けて、東京に在る才賀家の玄関を開けるとお母様が居ました。
「お帰りなさい、命」
「お、お母様、か、かおが、顔が怖いです!」
「休学は許しましょう。しかし、無断外泊は許さないと言ったわよね?ちゃんとお泊まりするときは連絡を寄越しなさい!」
「ひぃんっ」
こんこんと怒るお母様の言葉はどれも間違っていないため、私は玄関のドアを開けて大きく広がった廊下に正座して涙を流す。
悪いのは私だから何も言えません。
でも、これには訳があるんです。
「お仕置きです。来なさい」
「え、やです!もうすぐ高校生になるんですよ?」
「貴女はいつまでも私の子供よ」
そう言うとお母様は私の事を連れて一階の応接室に連れていくなり、私の身体をうつ伏せにしながら膝の上に固定し、左手をお尻に叩きつけてきた。
「ひぎゅうっ!?」
「命、夜遊びなんて不良のすることよ。貴女は才賀家の娘なのだからしっかりとしなさい!」
「み゛ぃっ!!」
バチン!と、またお尻に手のひらが当たる。
「おかっ、おがあざまぁ…!お尻、お尻叩かないで下さいっ。お尻おっきくなっちゃいますっ」
「元から大きいでしょうに」
「……ぐすん。気にしてるのにぃ…」
「私は妙みたいに甘やかさず悪いことは叱ると決めているの。全く、巓さんたら妙の悪いところばかり受け継いじゃっているんだもの」
お母様のトゲのある言葉にしくしくと涙を流して恨み節を伝えるもうなじを押さえ込まれ、力が上手く入らず、お母様のお仕置きは20回を越えました。
「うぅ、うぅぅぅぅ…」
「それで、いきなり帰ってきた理由は?」
「お、お薬を取りに……」
「そう。なら入院しなさい」
「え?……なんで、ですか?」
「もう持たないからよ。今の打診で分かったけど、すごく無理しているでしょう」
その言葉に、ウソはなかった。
おわり?私は、また病院に……。