再び、歩き出す 序
あれから二ヶ月が経った。
勝君としろがねさんの二人をお父様は正式に養子に迎えて、お姉さんと弟が増えた。でも、私の過ちで二人に深い傷を遺してしまっている。
そうして、もう一つは阿紫花のお兄さんに頼んで引き受けて貰った依頼の報酬を彼は受け取らなかった。いえ、彼は「お嬢さんが大人になったら、また会いに来やす」とは言ってくれた。
いつか迎えに来ると言ってくれたものの、あんなにカッコいい男の人なら私みたいな子供は直ぐに忘れてしまうかも知れないです。
「ミコト、少し良いでしょうか」
「しろがねさん、どうしたんですか?」
私の義理のお姉さんになってくれたしろがねさんが私の寝室の扉をノックし、ゆっくりと部屋の中に入ってきた。その手には漢字練習帳がある。
「今日も教えて欲しい」
「はい。どんどん頼って下さいね」
「ありがとう」
「良いんですよ、家族ですから」
私の勉強机に座って小学生の漢字の書き方、書き順、読み書きをしろがねさんに教える。……そういえば虎のおじさんにも似たような事をしたことあるけど、真由子おば様はどうして笑っていたのかな。
そう考えながらしろがねさんの隣に座って、同じように私も勉強を始める。『癒やしの力』を使った反動で身体の免疫力や健康状態に不調を来してしまい、私は二ヶ月ほどお母様の経営する糸色病院に入院していました。
巓ちゃんは爆風に吹き飛ばされていた筈なのに、気がつけば黒い服のお兄さんを引きずっていたし。ちゃんと人助けをしているんですよね。
ただ、ちょっとだけお口が悪いだけで巓ちゃんはとっても優しい女の子なんです。
「しろがねさん、指を切っていますよ」
「え?ああ、このくらい気にしなくても」
「もうダメですよ、ほら右手を出して下さい」
ゆっくりと彼女の右手を握り、蛍火色の淡い光を放って彼女の指の怪我を治していく。この程度の傷なら私も咳き込んだり痛みを感じることはない。
「……貴女の力は優しいですね」
「そう、でしょうか。優しいなら病気も治してあげることが出来るのに、私には怪我を治すだけでお母様の様に焼けて壊れた神経を治したり、取り憑く妖怪を祓えるような力はありませんよ」
そこまで言ってしまった後に、ハッと慌てながらしろがねさんに謝罪する。私は、褒められているのに八つ当たりして本当に悪い子です。
「それでも優しいと思います」
「……ありがとう、しろがねさん」
彼女の言葉に申し訳なさと嬉しさが汲み上げる。勝君とも話し合わないといけないのに、お父様もお母様もお仕事で忙しいため会える日は少ない。