災厄の始まり 序
お父様とお母様の介護を受けつつ、私は傷だらけだった身体の完治を確かめるためにストレッチを行っていたとき、東京の空に巨大な銀色の人を見つけてしまった。
ブツリとラジオの電源が勝手に起動し、昨日直したばかりなのに壊れたのかな?と小首を傾げながら周波数を弄っていた、そのときだった。
『ごきげんよう。死にかけの人類諸君。僕は
ザザッ、とノイズで聴こえないところもある言葉に困惑しながら窓の外を見る。銀の煙。ゾナハ秒を撒き散らすアポリオンをあの女神像は散布している。
「ッ、ここで動けるのは私だけですね」
クローゼットを開けてニュートンアップル女学院の制服に着替えて、セーラー服のお腹に四次元ポケットを張り付けて、お父様とお母様に置き手紙を書く。
もしかしたら私は帰って来れないかも知れない。
それに英良さんもきっと戦うために準備を始めている筈だと思いながら私は『空中浮輪』を頭に身に付け、窓の縁に足を乗せて、一気に空高く舞い上がる。
───刹那、真下から槍が飛んできた。
恐る恐る、足元に視線を向けるとお母様とお父様が私の事を見上げているのが見えました。
「行ってきます」
そう言って私はもう一度空を蹴る。
「居たぞ!糸色の女だ!」
「フェイスレス様の元へ連れていけ!」
「其処を退きなさい!」
電光丸を引き抜いて、高圧電流を叩きつける。それと同時にお母様に投げ渡された槍───北落師門を振るって
どれだけ強く作られても首を落とせば無意味です。遠心力を利用して身体を重たい穂先をそのまま放り投げ、その勢いに任せて私の身体も引かれて加速する。
「ん?……ひえっ!?」
後ろから聴こえていた筈の声が消えたことに違和感を感じて、後ろに振り返ると蛮竜が私の事を追い掛けてきているのが見えてしまい、慌てて『空中浮輪』から『タケコプター』に変更して加速していく。
北落師門を使っているから嫉妬したんだ。
そう納得と理解をしながら銀色の女神像に近づき、蛮竜を躱した次の瞬間、強烈な青白い雷撃が迸り、アポリオンに伝播して全ての機能を停止させる。
電圧沸騰した。
「ほえぇ……」
ズンと近付いてきた蛮竜を手に取り、大きな刀身に足を引っ掛けて移動を再開する。北落師門は不満そうに鳴動しているけど。
四次元ポケットに仕舞う。