圧倒的なパワーを持つ筋肉質な身体を使い、カピタンの振るう剣を粘土の拳で受け止め、パンチを繰り出す。舞踊の動きに起伏はありません。
人形の思考では受けることも防ぐことも無理です。不可能と言わないのは拳法や格闘技を習得している
「クッ、謀ったか糸色命!踊りと発明以外は機械頼りの小娘と創造主様は仰っていた!!嘘つきの塵屑がああぁぁぁぁっ!!」
「えぇ、その通りです。すべて事実です。この粘土の身体も超人的な力も格闘技の技さえも私は発明品で補っています。───ですが、この力は人助けをするために我が身を削って使います!」
前腕部の骨組みとして仕込んだ『バショー扇』の起こす風圧は内部温度の調整に加えて、足の裏と手のひらに作った孔を通って私の身体を瞬間的に加速させ、パンチやキックのスピードを底上げしてくれる。
「みんなにゾナハ病を振り撒いた分です!これも!これも!これも!これもこれもこれもこれもこれもこれこれもこれもおぉぉっ!!!」
バショー扇の排熱によって粘土の硬質化は止まっているけれど。私が身体を動かす度に身体に纏っていた粘土は固まり、カピタンの身体を殴る拳や足は固さを増し、両手首をくっ付けて掌部の孔をカピタンの胸に押し付け、踏み込みと同時に最大風圧を叩き付ける。
謂わば風圧掌打です。
「っ、ゲホッ!…けほっ…」
血を吐きながら『決め技スーツ』を解除して身体の弾けたカピタン・グランツィアーノの残骸を見る。
……やっぱり、ゾナハ病を撒き散らすアポリオンで機体を修復していたんですね。でも、核たる疑似血管は風圧でボロボロです。
「もう起き上がらないで下さいね」
はやく勝君としろがねさんのところに行かないといけないのに無理しすぎちゃいました。血で汚れた口許を押さえながら歩き、フラフラと不安定な足取りで進んでいると激しい雨が降り始める。
最悪……だけど。
これなら見付からずに進めるかも知れない。
そう考えながら英良さんのお家の前にたどり着いたとき、私はただただ唖然と目の前の光景を見つめることしか出来なかった。
しろがねさんが捕まっている。
「ミコトさん、来ちゃダメだ!!!」
「まさるくっ…!」
ドスンと衝撃が身体を突き抜ける。
「脆いな。これが最強の糸色だと?」
「がっ、はァ゛?!」
バシャリと泥濘に倒れ、血を吐いた。
見えなかった。でも、今のは鳴海お兄さんの使っていた中国拳法の技で、なんで、
「予定通り。この二人を連れていけ」
いし、き、がっ…………、