────時は少し戻って、黒賀の村。
絶望の悲鳴を浴びて昂る、
「なんだ、塵か」
「フェイスレス様に造って頂いた私が塵なんて随分と生意気な人間ね!惨たらしく死んじゃえ!」
クマの縫いぐるみを放ってきたガラクタのバカな攻撃に呆れ、薙刀の石突きを地面に叩き落とすと冥道を開いて大小様々な大きさに変化できる縫いぐるみをあの世に吸い込み、間抜けな面で呆けるガラクタを裏拳で殴る。
「立て。塵芥の失敗作め」
「しっ、ししししし失敗作ですってぇえ!!」
怒り心頭のままに同じ攻撃を仕掛ける
ガシャンと地面に落ちるガラクタの手足を切り落とし、変な臭いを放つ部位を抉り、見下ろす。絶対的な自信による慢心を抱いていたようだが、相手を間違えたな。
「遅い。弱い。醜い。まだ、あのコロンビーヌとかいうガラクタの方が使えたぞ。何なんだ?お前ごときガラクタ程度に、私と平助の憩いの時間を費やして戦わねばならない相手なのか?」
「ば、ばけも…!」
「何だ、ガラクタでも見えるのか」
私の背後に聳える白く染まった髪の毛、此度の絶望の悲鳴を浴びて、かつては九つ在った内の三本までもが戻った白く美しい妖狐の尻尾が、
正確に姿形を作り上げ、黒賀の村を見据える。
「しかし、今まで戦ってきたガラクタでお前より情けない塵は居なかったな。良かったな、塵の失敗作として終われるぞ」
そう言って私はガラクタを尻尾で潰した。
「クク、ゆくゆくは九つの尾が戻るな」
のんびりと平助の方に視線を向ける。
あとで、この尻尾で包んでやろうと思いながら命の匂いが微かに漂ってきた。だが、すぐに香りは雨によって消され、追跡は出来なくなる。
「(平助より命を優先するべきか?)」
「巓ッ、避けろ!!」
「あまり囀ずるな。気付いている」
平助の叫び声に気づき、私の目の前にやって来た目元以外を隠したガラクタの振るう拳を薙刀の柄で受け止めた瞬間、命の血の匂いがガラクタの拳から漂ってきた。
「貴様、私のモノを傷付けたな?」
「お前のもの?ああ、才賀命は私が倒した」
「愚図め、どうせ薬か道具で無茶した後に不意打ちを受けたな。そうでなければ平助や加藤に劣る貴様に命が負けるわけがないからな」
そう言って私は平助の傍に寄り、尻尾を椅子のように伸ばし、座る。平助を弱いと思って私のところにやって来たのだろうが、私の平助は強いぞ。