飛行船の揺れが無くなったおかげで、多少なりとも自由に動ける分の体力は回復できたものの、発明品も神通力も失った私に出来ることは皆無に等しい。
しかし、それでも出来ることはあります。
「しろがねさん、あの通気孔に私を運べますか?」
「出来る。でも、ミコトだけで
「フフ、大丈夫です。もしものときは秘密兵器を使うつもりですから♪︎」
そう言って私は彼女を安心させて、天井近くにある空調ダクトまで、しろがねさんにおんぶされたまま移動する。コロンビーヌが使っていたフルーツを切り分ける用のナイフを使い、空調ダクトの留め具を外す。
小柄な私なら通り抜ける事は出来ますね。
「行ってきます」
「何かあったら直ぐに戻って来なさい」
「分かりました。しろがねさんも気を付けて」
ゆっくりとダクトに入り、這うように進む。
話し声や移動する音が聴こえるけど。
全部、
四次元ポケットさえ取り返すことが出来れば、一か八かの賭けになるかもだけど。私が選ばれているのなら、あの時と同じように来てくれるはずです。
ごそごそと動く度、ダクトが少し揺れて気持ち悪さを感じながら空調ダクトの通気口を見つけ、恐る恐る下を覗けば廊下が見える。
「(歯車や機材がある……負けた
そう考えながらダクトの留め具を外して、ゆっくりと部屋に降りるとツカサ君が本を読んでいた。私の大百科を当たり前のように読んでいる。
「予想より早いな」
私の事を見据える目にビクリと身体を震わせる。でも、まだ大丈夫です。彼が欲しがっているケータッチは私しか場所を知りません。
彼の隣を抜けて工具箱を開き、使えるものを探す。やっぱり人形造りに必要な器具は自分の近くに置いているみたいだ。しろがねさんのために壊れた人形達も使える場所を探さないといけませんね。
「オレに力を返せとは言わないのか?」
「……目先の私欲より大事なのは家族です」
「そうか。じゃあ、ついでにケータッチを返して貰えるか。そろそろアイツと決着をつけるために此方も本気になる必要があるんだ」
「渡せませんよ。だって私の『並行世界の転写』でパーツをばら蒔いているんですから」
「マジか」
「私は弱いですから一策二策で終わると思いますか?何のために弱い身体を鞭打って、こんな危険な行為をしていると思っているんです?」
そう言って私はツカサ君を見上げる。