「世界毎に別けた?」
私の言葉を繰り返すツカサ君の表情は唖然としながらも楽しみにしていたプレゼントを貰えた子供のように無邪気な笑顔を私に向けて来ました。
「予測していた訳か」
「いいえ、貴方の性格を信用しているだけです。貴方なら私に危害を加えずに神通力を抜き取ると思っていましたから、なにより私に向ける視線に敵意は無いです」
「……あー、そこからか」
そう言うとツカサ君は困った顔で私の事を見下ろしたかと思えば、ベチン!といきなりおでこに向かって中指を弾き当ててきた。
「答えは、コイツだ」
「
突然の事に逃げられず、私はおでこを押さえて地面にへたり込んでしまう。女の子の顔にデコピンするなんて最低です。キッと彼の事を睨み付ける。
「ちゃんと返したぞ。ほら、今度はソッチだ」とツカサ君は笑って、私に右手を差し出している。叩いたことを先に謝ってほしいんですけど。
────いえ、かえした?
ゆっくりと意識を集中させると確かに私の身体の中に『並行世界の転写』は戻っているけれど。ツカサ君が全部私に返しているなんてあり得ない。
ゆっくりと『並行世界の転写』を飛行船に使う前に起こる出来事を確認した瞬間、何度も何度もやり直してもツカサ君の提案を断った瞬間に私は殺されていた。
「……ツカサ君、どうぞ」
「素直に聞いてくれて、ありがとう。まあ、オレとしては引きずり込んで怪人に変えても良かったんだけど。蜂女か蛇女のどっちがいい?」
「どちらもイヤですよ!?」
私は自分の身体を守るように抱き締めて後ろに下がりながら彼の顔を睨む。本気で私の事をそんな恐ろしいものに作り替えようとしていた。
それに、ツカサ君には聞きたいことがある。
「ツカサ君、フェイスレスに何かしましたか?」
「そう思った理由は?」
「彼は私に『見えるのか』と聴いて来ました。まるで自分の大切なモノを確かめるように」
「成る程、大体分かっているわけだ。───けど。その質問の答えはNOだ。オレはアイツに何かを与えるほど親しく無いし、今回も命の力を貰うために同乗していただけ。なによりフェイスレスには何も見えていないさ」
何も見えていない?
盲目になっている?
いえ、それなら私や周囲のモノに触れる手が躊躇しなかった理由にはなりません。そもそも『見える』というのは、何が『見えているのか』です。
よく思い返すと言動も不安定だった。フェイスレスと話している筈なのに、貞義のおじ様と話しているように感じたり、その逆に感じたりもしていた。
ふと、ツカサ君のカメラが視界に入った。
「ダビング?」
まさかと想いながら、私はツカサ君を見る。
私と会話していたあのフェイスレスは急拵えの唯のつかいすての劣化コピーした記憶を無理やり詰め込んだ存在だとするのなら────。
本物のフェイスレスは何処にいるの?
いえ、彼の目的は二つだった筈です。
「……狙いは、最初から勝君だった!?」
それなら早く脱出しないと…!