しろがねさんと一緒に海岸沿いの岩場に着地し、プスプスと煙を出す『決め技スーツ』の試作品を冷やして、四次元ポケットの中に戻す。
爆発はしないけど、ちょっとだけ不安です。
「しろがねさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。それよりもお坊っちゃまを助けに行こう。ミコトの話が真実なら急がないと」
そう必死の目を向ける彼女の言葉に頷き、私はしろがねさんと一緒に海岸沿いを歩いていると金色の蝶々が目の前を横切り、ユラユラと洞穴の中に入っていく。
───着いてこい、ということでしょうか?
虫の知らせ。
そういうものがあるのは知っていましたけど、まさか本当に虫さんが教えに来てくれるものだったんですね。帰ったらお母様とお父様にも教えて、ビックリさせてあげましょう。
「暗いな」
「そういうときの発明品もあります!」
四次元ポケットを漁って三番目の戸棚に置いている小瓶を取り出して、ハンカチの上に小瓶の中身を出して湿った岩肌や壁に粉末を振りかける。
ポワポワと淡い光が広がり、足元や洞穴の天井まで明るく照らし始める。自動繁殖をする光る苔の発明品『光りごけ』で歩ける場所は分かるようになる。
「やはりミコトの発明品はすごいな」
「フフ、ご先祖様のおかげですよ」
「それでも作ったのは貴女だ」
「……嬉しいです、そう言って貰えるのは」
そう言葉を交わしながら進んでいると昔の鮒乗り場として使われていたかも知れない階段と平たい石場を見つけ、ゆっくりと階段の上を見上げる。
特に罠も何も待ち伏せもないですね。
「私が先に行く。ミコトは後ろに」
「分かりました」
スタンガン機能の壊れた電光丸を腰に差して、いつでも使えるように柄に手を添える。自動反撃の機能は歩きながら直したけど。
ただ、抜いたら1分で電池が切れてしまう。向こうでしっかりと直しておきたかったけど。勝君を助ける方が先です。すでに劣化コピーされたフェイスレスが本体に電話か通信を行っているはずです。
ドアを開けて、廊下に出る。
それなら急がないと…!
「んぐっ…げほっ…!ゴホッ!ゴホッ!?」
「ミコト?どこか怪我したのか!?」
「っ、いえ、お薬が無くなっただけ…ゴホッ!…ゲホッ、ゴホッッ…ごふっ…!」
ポタポタと血がカーペットに落ちてしまう。ああ、本当にタイミングが悪いほどに悪いです。どうして、助けたい人がいるときに限って、こんなに胸が痛いのッ…!
「ど、どうすれば良い!ポケットに薬が入っているなら早く取り出して飲まないと」
「…げほっ、無いの、多分、本物が持ってますから」
そう言いながら私は「しろがねさんは先に行って下さい」と伝えて、もしものときのためにころばし屋さんとおもちゃの兵隊の指揮権を彼女に移す。