「糸色巓だ!アイツを連れていけ!」
「フェイスレス様の最後のピースだ!」
その言葉に怒りが吹き荒れる。
高々生まれて数年程度の塵が私を欠片扱いだと?随分とふざけたデータを組み込んでいるようだが、この私に勝てると本当に思い上がっているのか。
髪の毛に込める妖気の量を最大限まで引き上げ、私の事を狙って向かってきたガラクタ共の身体に髪の毛を突き立て、チリチリと口内に溜めた火炎を吹き、逃げる間も与えずに消し炭に変える。
「私の顔に何か付いているか、老いぼれ」
「誰が老いぼれじゃい!いや、その年で火吹き芸を体得しとる事にビックリしただけじゃて。仲町のヤツも良い芸人を集めとるな」
「私はスポンサーだ」
そう言うと私は逃げ遅れた人間や戦っていた兵士の死体を見下ろす。
どの時代も人の死ぬ様は儚くも美しくなければいけない。惨く恐怖に歪む様も良いが、童を虐めていたあのガラクタ共は非常に不愉快だ。
「ミコト、お姉ちゃん?」
「違う。私は巓、命の姉みたいなものだ」
私の言葉に安堵して気を失った童を尻尾で受け止め、優しく抱き上げてやる。少なくともコイツは助けを呼ぶために果敢に歩んできた立派な男児だ。
「オイ、秋葉!ギイ!」
「叫ばずとも聴こえているぞ、加藤」
「うるさいぞ、ナルミ」
「巓、子供と爺さん頼むぜ」
「……仕方ないか」
加藤鳴海と平助の二人が私達の目の前に佇み、ズラリと列を成して行進を続けるガラクタ共を睨み付け、いつでも渾身の拳を打ち込めるように構える。
「人間だ。まだ残ってるぞ」
「子供も女もいるぞ!」
私やミンシアを標的に定める馬鹿なガラクタ共に呆れながら、平助に「さっさと終わらせろ」と伝えた次の瞬間、片足の車輪を急速回転させ、加藤が飛び出す。
全く、せっかちな男だ。
だが、そういうのも悪くはない。
それだけ童を大事に思っているということだ。私もここ数ヶ月ほど童を慈しめるようになってきたと自負しているつもりだ。
「ははあ、流石は糸色家の人間でさあ」
「アシハナ、お前も行け」
「言われずとも、弁慶丸!」
ガコンと重苦しい音を立てて立ち上がった武蔵坊を模した人形が、ギイの操るウェディングドレス姿の人形オリンピアと肩を並べて戦っている。
やはり、アシハナの強さは命のおかげだな。
「うぉらあっーーーー!!!」
「この塵共があっ!!」
「全く口が悪いぞ、お前達」
「お前さんも人の事言えんぞ?」
「五月蝿いぞ、老いぼれ」
私は良いんだ。
私は何よりも自分が大好きだからな。