「ここが命が手伝った場所か」
忍び装束を纏った機巧人形と道化師風のガラクタ共が散乱し、壮絶な死闘を繰り広げていた事は容易に想像できる。しかし、血の臭いは薄い。
人は生きていると考えて問題ない筈だ。
「テン、気配はあるか?」
「地下室に人の気配は何百とあるが、施設内にガラクタ共の濁った体液の臭いもある。出会えば戦うことになるが、本当に私は戦わなくて良いのか?」
「ああ、君の体力は温存したい。おそらくフェイスレスはアポリオンを通じて、僕達の行動を監視している筈だ。そうなれば狙われるのは君だ。特に糸色景の血を継ぐ君達は絶対に奪われる訳にはいかない」
フェイスレスが「柔らかい石」───
いや、アレは自分の命に対して無頓着だった。才賀かしろがねの命と引き換えになったら迷わず、そのまま飛び込んでしまうタイプの愚図だ。
自他を救う最適解より目先の他を助ける。
「巓ッ」
「んッ……いきなり抱き締めるな」
受付の小窓を突き破り現れたガラクタの腕を破壊し、私の事を守るように片腕で抱き締める平助に心臓が高鳴る。フン。私は守られるほどか弱くない。
……が、まあ、夫の願いは受け入れよう。
「
「ん。ああ、ちょっと前に結婚した新婚だ」
「え?え!?私よりも年下よね?」
「フン。愛に年齢は関係無いぞ」
なあ?と平助に言えば気恥ずかしそうに顔を逸らす。クク、本当にお前は分かりやすくて良いな。私は愛する
そう自慢しようとした刹那、風の流れが変わった。
「───止まれ。いつぞや以来だな」
「お前は、パンタローネ…!」
「
「ああ、だが、コイツは倒した筈だ」
「大方、複製品だろうな」
私がそう言うと空気を圧縮した弾丸を放ってきたガラクタの攻撃を首を曲げて躱す。全く、節操無しにも程があるな。せめて話しながら戦え。
「……巓、アイツは風使いだよな?」
「そうだな。だが、命の風の方が心地良い」
「秋葉巓、貴様を連れ帰るのがワシの仕事だ」
「クク、随分と嘗めてくれる。さっき私に放った風、最大風力だったろう?斯様な旧式の機体で私に勝つなど絶対に無理だ」
ガラクタなら笑いぐらい取って見せろ。