「……ざっと数えて千と少しか」
そう呟きながら研究施設に乗り込もうとする馬鹿なガラクタ共の中を見下ろす。眼前の建物に意識を削がれて、空に立つ私に気付きもしていない。
よくもまあ、こんなガラクタを作っただけで神を名乗っていたものだ。まだ私に向かってきていた糟みたいな神共のほうが知能はあったぞ。
蒼月潮の真似事になるのは癪だが、この量を消し飛ばすには強力な妖器物を使わねばならんか。ああ、本当に糸色の血筋は面倒な奴らに巻き込まれる。
「冥道残月破」
するりと
私を顎で使った羽虫の息子も冥道に送り込んでやろうかと考えたが、あのムカつく羽虫より幾分まともなアイツを消すのはダメだと諦める。
しかし、本当に面倒な奴らだ。
「今度は空を飛ぶガラクタか」
尻尾の一本を婢妖に変えてしまえば事足りるが、嵐の尾と槍の尾を捨てるのは惜しい。この二尾さえ在れば大抵の糟は消し飛ばす事が出来るからな。
────不愉快な気配を感じ、空を見上げる。
「何をしに来た。蒼月潮、シャガクシャ」
羽虫の用意した獣の槍を振るう姿と火炎と雷撃を放つシャガクシャの姿に怒りを向ける。……いや、蒼月潮の個展が同時期に開くから楽しみだと、愛する
アメリカで個展を開くつもりだったのか。
…………あとで邪魔しに行くか。
「巓ちゃん、大丈夫か!?」
「けっ。コイツが簡単にくたばるかよ」
「囀ずるな。あとちゃん付けはやめろ」
「ハハハ、お妙さんそっくりだよ」
ワシャワシャと頭に勝手に撫でる蒼月潮を睨むも「ちゃんと人になれてるんだな、良かったよ」の言葉に怒りが霧散する。そういえば、ずっと私に構っていたのはお前だったな、鬱陶しいくらいに。
……今考えると殺意が溢れる。
「オイ。何か睨んでるぞ」
「なんでだ?」
コイツら、本当に腹立たしい。
いや、今更それを考えたところで愛する
「不愉快な顔だ。さっさと日本へ帰れ」
「あ、あー、麻子に言われた?」
「けひひっ。また怒られてんだぜコイツ」
「とらも人の事言えねえだろうが!!」
「……はあ、喧嘩するなら他所でやれ」
そう言って私は薙刀を構える。
その私の左真横に蒼月潮とシャガクシャが立つ。かつては私を屠るために向かい合った妖怪と人間が今は私の隣に立つか、何とも数奇な話だ。