しろがねさんに勝君の捜索を優先して貰った反面、私は自分の胸を押さえながら、今にも止まってしまいそうに「トクン…トクン…」と音の小さな心臓の鼓動を堪えるように物陰に座り込んでいる。
「…けほっ、げほっ…っ、はあ……」
バレたら捕まる。
その不安と胸の苦しさを誤魔化すように、ふらつきながら立ち上がり、眼鏡を掛けた穏和な表情のころばし屋さん*1に硬貨を入れ、守ってほしい事を伝える。
今の私を守ってくれるのは彼だけです。
ゆっくりと歩く私の足元で右手を空気砲に変えたまま先行してくれるころばし屋さんが廊下の曲がり角で動きを止め、静かに向こう側を覗く。
スッと手を上げて私を呼ぶ彼の後ろを歩こうとした刹那、反対側の廊下の先に走っている勝君の姿が見えたような気がする。
───けど。そう簡単に見つかるわけがない。
そう私は意識を戻して、ボヤけて霞む視界の中に映っているころばし屋さんの帽子を見ていた筈なのに気が付いたら、壁がある、
あれ、たおれて、ゆか?……かな、?
……なん、だ………あ…
……ぁ…ゃ、だ…
……い、しきが……きえ………し…
「イギぁッ?!」
バチバチと全身に青白い雷撃を打ち込まれたおかげで、ドクンッ…!と心臓の鼓動が大きく鳴る。は、っ、はあっ、私、死にそうになってたの?
その恐ろしい事実に気付き、カタカタと身体が恐怖で震えて竦み、浅い呼吸を繰り返しながらも胸を押さえて、ゆっくりと深く息を吸う。
「……よし、大丈夫です」
さっきの青白い雷は四次元ポケットから出ている蛮竜の手助けだったんですね。ありがとうございます、あなたのおかげでまた助かりました。
でも、流石に雷は痛かったです。
私の事を心配そうに見上げるころばし屋さんの事を抱き締めて、もう遅くて変なリズムだけど。ちゃんと動いている事を教えてあげる。
「行きましょう、ころばし屋さん」
勝君を助けて、ちゃんと家族で終わりたい。
フェイスレスを倒したいけど。
殺したい訳じゃない、ルシールおばあさんや他の世界中のみんながどれだけ彼の願いのために傷付いているのも知っている。
それでも貞義のおじ様だったとき、そう振る舞っていただけなのかも知れないけど。私のお見舞いにも来てくれて、誕生日にはプレゼントだってくれた。
その優しさを信じていたいんです。
「……勝君も、絶対に諦めないから」
私が、お姉ちゃんの私が諦めるなんてあり得ない。大事な家族を守るために私は強くなるんです、絶対に