空気の炸裂する音と共に放たれた空圧弾が私達に気付いていない
ころばし屋さんは傘を取り出して、私も四次元ポケットから傘を取り出して降り注ぐ銀色の雨を受け止め、ゆっくりと
───人形細工の工房?
「工具も材料も新しいですね……それに、ここにあるのは飛行船のモノより材質も良い」
人様の物を勝手に使うのは悪いと分かっています。でも、今は緊急事態ですから、と。私は自分自身に言い訳を繰り返しながら壊れた電光丸と『決め技スーツのベルト』を取り出して修理を始める。
「衝撃吸収材まである…すごい…」
これなら作れないと思っていたスーツを作ることが出来る。あとは飛行能力を高める機材を組み込めば、しろがねさんだけじゃなくて勝君を抱えて逃げることも可能になるはずです。
「(こうも都合良く素材があると罠なのかと不安になってしまいますね。いえ、実際に罠という可能性もありますから詰め込みすぎないようにしなければ…!)」
そう思いながらも私は『決め技スーツ』の強化装甲部のプロテクターを製作し、グローブやブーツなどパーツを作り、ジャケットとズボンに着替えて、せめてもと考えて作っていたヘルメットを被り、ベルトを腰に巻いてバックルの中にスーツを格納する。
「電光丸の高圧電流も充電しておきましょう」
「壊されてるぞ!」
「エレオノール以外の侵入者だ。おそらく才賀命だろう、傷付けずに捕まえろ!アイツは私達の身体を癒やすために生体ユニットに組み込む予定の素材だ」
「はっ!」
「チッ。壊さずに捕まえろとか難し過ぎるぜ」
そう言って部屋の前で私が連れてこられた理由を話す声を聴き、恐怖や怒りよりも納得してしまった。誰だって死ぬことは怖いですから、人の傷を癒やす力を目の当たりにしてしまえば欲しくなるのは当然です。
私は顔を悲しみに歪めるころばし屋さんの頭を優しく撫でてあげ、ゆっくりと『拳法丸』を一錠だけ呑み込んで部屋の外に出る。
「なんだ。自分から出てきたぞ」
「フン、何でも良いさ。才賀命、このまま大人しく捕まれば危害は加えないぞ」
「私は、悪いことが嫌いです。誰かを傷付けることも怖いし、みんなに怖がられて遠巻きに見られるのも、もしかしたら明日は起きれずに眠っている間に死ぬかも知れない夜が大っ嫌いです」
「いきなり、何を言っている?」
「───だけど。私が一番嫌いなのは命を粗末にする事です!あの真夜中の天幕の中で、自分の命を捨てる様な戦い方をするあなた達は絶対に許しません!!」
そう叫ぶと私は左手を突きだし、円を描き、右腰に溜めていた拳を斜め左上に向かって突き上げる。
「変身!!」
糸色景様の残してくれた大百科、その第三巻に載っていた十人の戦士の名と強さ、その中でも一番心から惹かれた彼の姿を模倣した姿に私は『決め技スーツ』を着込むことで─────。
─────私は、
「なんだ、なんだその姿は!?」
「俺達と同じだったのか?」
「いや、そんなはずが」
えぇ、そうです。
私は所詮ただの真似事です。
ですが、恋する乙女はどんな夢も希望も叶えてしまうものだってお母様は嬉しそうに教えてくれたんです。私は命を粗末にするあなた達を懲らしめる敵です!