「その顔は、バッタか?」
「虚仮威しだ!」
そう言って右腕をドリルに変化させ迫ってくる「しろがねO」の姿に似た人のパンチを舞踊の動きと同じように手を滑らせて、緩やかにパンチの軌道を変える。
「少しはっ、反省しなさい!」
初めて人を殴ってしまった罪悪感を抱きながらも動けないように手足の関節を壊し、刀や鋏、銃に身体を変化させる彼ら彼女達の事を見つめる。
悲しい。苦しい。
どうして、人間なのに命を粗末にするの?
私だってもっと生きたいと思っているのに、怖くても歩いていこうとしているのに、どうして、
「ベルトだ!アレを奪え!」
「言われなくても分かってる!」
「退け!私がやる!!」
騒々しく争って私に迫る「しろがねO」の振り上げるようなキックを、そのまま後押しして地面に倒すと同時に関節を粉砕し、静かに怖くて怖くて震える手を握り締めて目の前に立つ人達に視線を向けた。
「お前は、何者なんだ!」
「……仮面ライダー、です。紛い物の不完全な、見た目を似せて作っただけの、私が無理やり戦うために身体を固定する、勇気を込めた発明品です」
「かめん、らいだあ?ふざけるな!ただの醜いバッタ女の間違いだろう!!」
「今は、それで構いません。ですが、この発明品には必ず意味が生まれると信じていますから、私はあなた達を止めるために使います!」
そう訴えるように叫び、左手を突きだし、構える。
大百科の第三巻に載っていた『スカイライダー』に関するページに在った最大にして最強の攻撃手段は、一つの攻撃に集中していた。
「スカイ……!」
ダンと床を踏み締めて、跳び上がると同時に壁を蹴り、彼女の背後に回り込み、天井に着地すると一気に身体を縦回転しながら蹴りを放つ。
「キィック……!!」
「がっ、はあぁ゛っ!!?」
背中を蹴り、背骨を砕く。
これで、もう彼女も動けない。
「ゴホッ、ゴホッ!げぉ゛っ……!」
そう安堵した刹那、汲み上げる苦しさに咳き込み、マスク部分を突き抜けて、血を吐き出してしまう。やっぱり一時的とはあえ無理やり身体を拳法の達人に変える『拳法丸』を服用するのは苦しいですね。
「ッ、げほっ、げほっ…ゴホッ…!」
ふらつきながら変身を解除して、ころばし屋さんと一緒に勝君を探すために歩き出す。もうすぐ、この戦いも終わる筈なんです。
「貴様、誰も殺さずに逃げる気か!!」
「…………私が、もう死ぬかも知れない私が誰かの命を奪っても背負って生きることは出来ないんです。だから、あなた達も真面目に生きてくださいね」
ゆっくりと、そう私は伝える。