「只今、帰りました!」
「お帰りなさいませ」
玄関の扉を開けて、さっきまで履いていた靴を脱ぎ、フローリング用の室内履きに履き替えて、トタトタと階段を駆け上がって私の寝室の中へと入り、巓ちゃんに手渡されたはむし?さんからの贈り物を確認する。
武器。医学。人形。生物。色々な項目に別れた冊子の一番上に重しのように置かれていた印籠の様な物を手に取り、ふと私は寝室のクローゼットに視線を向ける。
クローゼットの前まで移動して扉を開ける。
制服や私服を吊るした奥に見える。お母様の血筋の背負う糸巻きの家紋と印籠を見比べて一致している事に、ゴクリと唾液を飲み、糸巻きの家紋に触れそうになる。
「……もっと読み込んでからにしよう」
危ないものだったら危ない。
そう私は呟きながら古い冊子を置いた机に戻り、しっかりと読み始める。其処に載っているのは現代科学では再現不可能と言える発明品の設計図ばかり。
巓ちゃんの持ってた懐中電灯「如意光」もある。
物体の大きさを自由に変えることができ、あの次郎丸も元々はお兄さんの操っていた時の大きさこそが正常であり、私は知らないものばかりで、ドキドキと心臓が凄い速さで鼓動を繰り返している。
「……次郎丸。機巧人形中期型、二本の鉄拵えの長刀を振るい、広範囲に攻撃を与える人形。三種の機巧人形、揃えば天下無双なり?」
天下無双と言われてもピンと来ないけれど。
しろがねさんやお兄さんの操っていた人形達は確かに強くて、この本を遺してくれた奇天烈斎……糸色景様の優しさに嬉しさが汲み上げてくる。
「命、少し良いかい?」
「は、はいっ!」
コンコンコンと扉をノックする音に慌てて返事を返し、メガネを外して扉の方に近づき、ガチャリとドアノブを捻ってお父様を見上げる。
「お父様、どうかしましたか?」
「入っても良いか」
「構いませんよ、お父様ですもの」
私の部屋に入ってきたお父様は椅子に座り、私はベッドの縁に腰掛けてお父様と向き合う。一体、何をお話しになるのでしょうか?
「勝を狙って兄さんの子供が動き始めている。おそらく標的にお前も居るだろうと連絡を受けた。親の勝手だが暫く学校には行かないで欲しい」
「あの、巓ちゃんはどうなんですか?」
「彼女は自分を狙っていると聞いて直ぐに殺し屋や誘拐犯が自首するほどに痛めつけて、今も彼らの怯えた姿を見るために会いに行っているそうだ」
「あ、あはは、巓ちゃんらしいですね」
そう言って私はお父様の言葉を承諾し、休学中は試したいことをするために工具箱や機材を貸してもらえるようにお願いをして、無事に許して貰えた。