しろがねさんが巧みに操り、刀と鞘による二刀流で攻める私の攻撃をドライバーやネジ巻き、小型のレンチで受け止め、フェイスレスは瞬時に私の身体を操る発明品と繋がっている糸を狙う。
「ミコト、さっきのアレはまだ使えるのか!」
「多少の無理は承知の上です!」
そう私にといかけるしろがねさんの言葉を肯定し、私の身体を操る彼女の思うがままに構える。あるるかんの様に高速回転打撃は行えないけれど。
似た技は幾つも知っています。私だけでは使えないですが、こうして操縦していただければ私の技はフェイスレスにも届き得る。
ゆっくりと電光丸を鞘に納め、構える。
「居合い、正二も使っていた技か!」
私の構えに僅かに焦りを見せたフェイスレスにしろがねさんの操られるがまま駆け出し、高速で走る軌道を変える度に骨が軋み、血を吐く。
───それでも止まるわけにはいかない!
その覚悟を以てフェイスレスの身体に電光丸を叩きつけ、高圧電流を流し込んだ。────流し込んだ筈なのに、フェイスレスは平然と佇んでいた。
「天幕の中で僕は君の戦い方を見ていることを忘れたのかい?それとも人形に成りきることに集中しすぎて、僕の身体の仕組みを忘れていたのか」
「ミコト、後ろに下がって!」
「はいっ!」
フェイスレスに鞘を投げつけて、後ろに飛び退きながら突きを放つために電光丸を顔の横に添え、左手を電光丸の切っ先に添えて突撃の姿勢に構え直す。
かつて新撰組の副局長・土方歳三の考案し、それを斎藤一がより強力な業へと昇華し、必殺の一撃まで極めたという片手平刺突の究極戦型「牙突」の構えを取る。
「その構えも見覚えがあるよ。全く幾つ抽斗を持っているのか気になってくるね!」
「ミコト、少しだけ無茶する!」
「構いません。信じています!」
どこか楽しげに笑うフェイスレスに向かって私の身体を操って動かすしろがねさんの狙う場所は操り糸を通じて分かる。胸部を通って背骨を破壊する。
そうすれば身動きを封じることは可能であり、少なくとも身体を変える時間や攻撃を組み込み、私達を狙う事は限り無くゼロに近付く。
「ミコトッ!!」
「参ります!」
狙うは胸部必中、この技は絶対に外せないっ。フェイスレスよりも先に動き、彼の焦る表情に当たると確信し、更に力強く踏み込んだ。
────否、踏み込んでしまった。
「命、エレオノール、君たちだけで本当に二百年もの月日を生きてきた僕に勝てると思ったのか?」
ゴキ、パキッ…!と骨の指先から肩に掛けるまで右腕の関節の悉くが「分解」され、電光丸さえもネジの一本に至るまで部品を「分解」された。
「あえ??お、折れ……?!や、やめ……うでいた、ァあ……ッ!なん、で……ひぎッ…!!こッ、ごほッぉ゛ほッ゛!ッ、がぁ゛……!!ッかお、が……!うう…ッ!ううう……!!いだぁ゛あア゛……!!!……ッ?!…?!がッ…!!ッあ゛ぁ゛ッ!!」
「ん~~~っ♪︎♪︎♪︎良いね、ずっと考えていたんだ。どうすれば僕の夢を邪魔していた糸色景に復讐できるのかを。
倒れた私の顔を蹴り上げ、お腹を踏みつけ、ケタケタと嗤うフェイスレスの言葉の意味が分からなかった。糸色景様が、彼の邪魔をしていた?
そんなの、知らない…!