「………ぅ、あ?…」
「起きたか。愚図め」
私の事を見下ろすつり目の綺麗な女の人がそう言うと口の中に擂り卸したリンゴを流し込んできた。コクンと甘さと水分を得たことで安堵の吐息をこぼす。
「全く、愚図だと思っていたがガラクタ共を道ずれに落ちるなど愚行も愚行だ。もしもの場合、貴様の死を母に報告しなければいけない私の気持ちを考えろ」
そう言うと巓ちゃんはスプーンで掬った擂り卸しリンゴを口許に運んでくれ、コクンと少しずつ飲み込みながら疲労感で動かないながらも周りを見る。
ここ、お船の傍なんですね。
さらに言えば巓ちゃんの膝枕を受けています。
「命、かなり身体を酷使しただろう」
「……すみ、ませ…ん……」
「いや、謝る必要はない。そうしなければ勝てなかったか、逃げることは出来なかったのだろう?それに右腕の傷も酷い、暫く私の傍にいることだな」
そう言うと巓ちゃんは髪の毛で私の事を抱き締めて動けないようにすると歩き始める。どうやら彼女もそろそろ突撃するようだけど。
本当に大丈夫なのでしょうか?と小首を傾げる。
彼女の背中にミノムシのように張り付いているのは流石に恥ずかしいけれど。私の安全性を考えると、これ以上に良い場所は無くて仕方ないことです。
「しかし、命は軽すぎるな。帰ったら私の育てた野菜を喰わせてやる。もっと喰わなければ身体が持たない」
「えと、あはは…」
「それに……お前の髪を切ったヤツは殺す。お前が止めようと殺す。どうせ、あの自意識過剰な黒眼鏡の糟がお前の事を傷付けた」
「……髪も痣もそうですけど、でも」
「優しさは時として毒になる」
発明品で髪の長さを変えるものもありますから、それを作れば髪の長さを戻すことはできますし、巓ちゃんとお母様とお揃いの長髪は大好きですから。
「それで腰の発明品はなんだ?」
「あれは高くジャンプできる発明品です」
正確には身体を守るスーツを収納して身体を強くしてくれる発明品なんですが、そういうのは流石に難しくて外付けの強化服を作るのが精一杯でしたけど。
そう考えながら歩くのを止めて飛び始める巓ちゃんにくっついたまま、ぼんやりと空を眺める。やっぱり自分だけ何もしないのは恥ずかしくて申し訳ないです。
「巓ちゃん、
「問題ない」
巓ちゃんがそう言うと強烈な一閃が放たれ、
とてもかわいいです。