私の近くに居ることで安堵したのか、先程まで忙しなく話していた命は静かに寝息を立てて眠り始める。三本の尻尾の内の二本は彼女の身体を守るために使う。
「蛮竜、暫し私に力を貸せ」
命を見つけるときに雷光を発していた蛮竜を呼び寄せるも拒絶するように私の手を焼き焦がす生意気な大鉾に舌打ちをしながら妖気を吸わせ、大人しくさせる。
……やはり人の身に変わった私では砕くことも出来ない程に強大すぎる妖器物に変わり始めている。それに、随分と面白いモノを見せるものだ。
「クク、
私の事を拒んでいるのではなく按じている。そういうことかと思えば納得も出来るが、まだコイツの教えた未来の出来事を知るのは早そうだ。
それに、命の子も気になる。
「やあ、待っていたぜ」
「フェイスレス達はどうした」
「生憎、オレっちは最後の最後で護衛さ」
白塗りの角の生えたガラクタが横一列に五体も並ぶ姿は家庭菜園の際に現れるナメクジやシャガクシャに匹敵し得る気持ち悪さだ。
「ハーレクイン。フェイスレス様の道化師、
角の周りが帯電したかと思えば静かに静止していたガラクタ達は一糸乱れぬ動きで身体を動かし、にやりと笑って私を見下ろしている。
実に不愉快なガラクタだ。
なにより気に食わないのは私ではなく命に白塗りのガラクタは興味を抱いている。おそらく命がまた面倒事に巻き込まれたか、このガラクタが壊れているかだ。
「なあ、オレっちに命をくれないか?フェイスレス様みたいに傷付けたりしないからさ」
ふざけた提案をするガラクタに蛮竜の切っ先を突き付け、熱風で吹き飛ばす。まったく存在するだけで不愉快だというのによく稼働している。
「私の従姉妹を貴様のようなガラクタに差し出すわけがないだろう?平助と一緒に行動している奴らに会い、命の身体を癒やす場所を確保しなければな」
そう呟きながら離れようとした私に向かって雷撃を放ってきたガラクタを睨み付ける。普通のガラクタと違うな、コイツの身体はまさか?
「お前、人間の筋繊維を使っているのか」
普通の糸や鋼線より加工は難しく腐敗する可能性もある人間の筋繊維を使ってガラクタを作るとは、戦国時代に存在していた糟共にも似た者がいたか。
いや、幾ばくかアイツらがマシだろうな。