「雷光の方陣?」
「そうさ!フェイスレス様に聴いた通りに使えば糸色家最強の血を引くアンタだって捕まえることは出来るらしいんだよねぇ!」
五行の形に陣形を組んだガラクタを見る。
いや、
「成る程、命を守る前提の方陣というわけか」
「流石は聡明なテンっち!オレっちの作戦を直ぐに見破るなんて普通は無理だし、焦りで自棄になる他の奴らとはやっぱり違うね」
その一言に僅かに動きが鈍った瞬間、雷光の方陣は形を変えて私の事を襲い始める。短剣か何かを磁力で打ち出しているだけだが、手数は増やしやすい攻撃だ。
視線だけで雷の中を駆ける短剣を一本ずつ確認し、急速的に放たれたモノを優先して蛮竜で弾き、受け止める事は頬や肩、脇腹を掠める短剣に舌打ちをする。
命を狙って攻撃を繰り返している。
まだ目覚める気配の無い命を守るために三本の尻尾に包み込み、未だに私の事をムカつく程に拒んでいる蛮竜を押さえつけ、雷撃の軌道を一つに集める。
「ガラクタ風情の静電気が、妖器物の放つ雷撃に敵うと思ったか愚か者め」
「ちょっと予想外かもォ♪︎」
「そうか。ならば、消し飛べ!!」
ズラリと本体を守るために陣を組むハーレクインに向かって蛮竜の纏った妖風の亀裂を嗅ぎ分け、力任せに振り下ろす。風の傷。かつて私の身体を退けた時よりも威力は劣るが、古城の一部を破壊する程度には振るえるか。
もっとも私に刃向かう武具など二度は使わん。
私の手を焼き焦がしながら命の腹の中、四次元ポケットに戻る蛮竜を一瞥し、スンと鼻を鳴らして才賀の臭いを追う。……これは才賀の臭いか?
「まさか意識を奪われたのか?」
古城の天井を割いて現れた巨大な塔───宇宙へと向かう船に纏わり付く醜悪な気配に命を背負ったまま空を飛び、カウントダウンを告げる機械の声を聴く。
細い鉄の橋の先に、拘束されたしろがねがいる。
その橋の中で才賀とフェイスレスが機械的に死闘を繰り広げている姿に違和感を感じ、スンと鼻を鳴らしながら才賀の方を見下ろす。
「(才賀の身体に二つの魂がある。かなり劣勢の様だが、まだフェイスレスに肉体の主導権を完全に渡しきっている様子はない)」
────だが、それだけだ。
おそらく数分後には才賀勝は消滅する。
「……いや、お前の弟だったな」
糸色家の諦めの悪さは血を越える。
「行け、才賀勝」