フェイスレスの映像通話を受信し、私と巓ちゃん、鳴海お兄さんやレッシュさん達は大型スクリーンに映し出された青年に首を傾げる。
いえ、彼はフェイスレスになる以前のディーン・メーストルでも才賀貞義でもなく
『やあ、久しぶりだね』
フランクにまるで親しい友人と再会し、喜ぶように語りかけるフェイスレスにみんなの視線は集まる。ただ、フェイスレス自身の視線は私に向いている。
しろがねさんがいないからでしょうけど。
『ご存じフェイスレスだよーん。クローン技術で生前の身体に戻ってみたんだ。中々にハンサムだろ?まさか僕の夢を砕いて「はい終わり」「めでたしめでたし」なんて考えている訳じゃないだろう?』
『エレオノールも手に入らなかった。正直、もう全部どうでも良くなっちゃったからさァ、ゾナハ病の進行を速めることにしたんだ。だからもういいや。世界中の人間達、死んじゃえよ』
『────と、最初は考えていたけど。ゾナハ病の治療法と在るものを懸けて最後の勝負をしよう!』
ゴトンと玉座に腰掛けるフェイスレスの真横に置かれていたテーブルに円柱型の大きな水筒にも見える入れ物の中に在るものが浮かんでいた。
「ソイツは、心臓か?」
『そう!コイツは才賀命の心臓さ』
「命の心臓だと!?まさか切られたのか!?」
「い、いえ、私は手術なんて受けていないです!」
鳴海お兄さんは慌てて私の身体を触ろうとしたものの、レッシュさんや英良さんに止められる。しかし、その言葉に誰もが息を飲み、誰もが私を見ていた。
『オイオイ、彼女には何もしていないぜ?コイツはクローン技術で作った命の心臓の代用品。尤も本人の細胞から丁寧に作り上げた一点モノだ』
「……エレオノール姉さんと心臓の
しっかりと彼の目を見つめて私は断る。
『───ククク、本当に強情な子供だ』
『それに、その解答は予測していたさ。だが、君は僕の提案を受けざるを得ない。君の心臓はあと持って2ヶ月ってところだろう?』
巓ちゃんとレッシュさん以外のみんなの視線が苦痛めいて悲しみを孕んだ眼差しに申し訳無さを感じて苦笑を浮かべながら「落ち込まないで下さい、最初から分かっていた事ですから」と言葉をかける。
それなのに、みんな無反応で悔しそうだ。
「俺が受けてやるよ。フェイスレス」
『ナルミか』