宇宙空間に対応できる発明品の開発を進める私を遠巻きに見つめる視線は多いです。おそらく誰かが私の心臓の話を盗み聞きしていたのでしょうね。
「巓ちゃん、無理して傍に居なくても」
「囀ずるな。私は問題ない」
そう言うけれど。
私の事を憐れみ、悲しそうにする視線を一緒に受けるのは巓ちゃんも辛いはずです。それなのに、いえ、それでも一緒にいてくれるの?
「私は負の感情を好むからな」
「……あの感情を食べられるお話って、本当に本当の事なんですか?」
「嘘を吐く理由はないし、なによりお前が入院していたとき、辛くなかったろう?」
クツクツと楽しそうに笑って車椅子を押してくれる巓ちゃんの優しさに安心しつつ、廊下を進んでいると鳴海お兄さん達が何かを話しているのが見えた。
なにかあったのかな?
少し不安に思いながら巓ちゃんにお願いして止まって貰い、レッシュさんや英良さん、平馬君に黒賀さん、仲町サーカス、他の男の人達も巻き込んで何か話している。
「だからッ、命の作った宇宙空間で動ける強化服を着るのは俺だって言ってんだろう!」
「全く、これだからイノシシマンは困る。銀色の装甲なんて僕を意識しているに決まっている」
「あたしも変身してみたいんですが」
「アニキ!オレもやりてえ!」
「宇宙で拳法家なら俺だと思う」
ワイワイと私の作っていた宇宙空間に対応できる『決め技スーツ』の装着者を巡って喧嘩しているようです。私の使っていた決め技スーツのベルト『トルネード』は造形的に女性に適していますけど。
彼方は伸縮性と耐久性を両立した素材を使用し、男女問わず使えるように開発しているものです。巓ちゃんとお知り合いの蝶のおじ様に『フエルミラー』を使って頂けば何本か複製は出来るのですが。
「どうして、あんなので喧嘩を?」
「知らん。男の琴線など分かるか」
───けれど。
鳴海お兄さんが少しだけ元気に笑って居られるのなら作って良かったと思えます。ただ、あの『決め技スーツ』のモデルにした『仮面ライダー』はかなり構造の細かさに加えて、両腕のモジュール換装も難しかった。
前腕部の換装は完全に義手を前提とした設計図ばかりで、グローブ型に改造・実験を繰り返して、ようやく完成したものも二つだけ。
それも鳴海お兄さんに合わせて作っているし、勝君が居てくれたら彼の分も作れるのに、本当に何処に行ってしまったのだろう。
早く、戻ってきてほしいな。
そうしたら、上手く行くような気もします。