長足クラウン号に荷物を運び込み、私達はスペースシャトルを打ち上げるためにシベリア鉄道を通りぬけないといけない。一日中、ずっと走り続けるため、かなり体力を消耗する事になりますね。
「ミコト、心臓はしっかりと回収しておくんだ。この世界最高の名医たるギイ・クリストフ・レッシュが移植手術を受け持つからには万全の状態でだ」
「フフ、分かっていますよ。巓ちゃん、みんなのことお願いしますね?」
「フン。万もいないガラクタに負けるものか」
「コイツは俺が守るから大丈夫だ」
そう言うと薙刀を持っていた巓ちゃんの隣に立っていた黒賀平助さんはワシャワシャと彼女の頭を撫でている。ちょっとだけ羨ましいですけど。
英良さんは戦えない人達の護衛です。
しろがねさんと鳴海お兄さんはまだぎこちないけど。この戦いが終わったら絶対に大丈夫です。
「ミコト、手を」
「ありがとうございます」
ゆっくりとクラウン号に乗り込む私に手を貸してくれるしろがねさんにお礼を言いつつ、英良さんに向かって私はベルトを投げる。
「お嬢さん、コイツは?」
「欲しがっていましたからプレゼントです♪︎」
私のお古だけど、もしものときは私の代わりにフェイスレスを止めるために戦ってほしい。そんな身勝手な気持ちを押し付けてしまいます。
……本当は私を忘れてほしくないからです。
「(勝君はコロンビーヌと二人で先に移動しているとは聴いたけど。向こうに連絡を取っているのはレッシュさんだけですし、とても不安です)」
勝君は強くなっているし、コロンビーヌもいるけど。彼はまだ子供だからあまり無茶な事はしてほしくないですし、怖いことは素直に逃げてほしい。
ずっと着ていたニュートンアップル女学院の制服もボロボロです。無事に帰ったらお母様とお父様に謝ってクリーニングに出して貰わないといけませんね。
「(……クラウン号が発進したら絶対に気分を悪くして酔ってしまうけれど。他にも仲町さん達も乗ってくれますし、万が一はないはず……)」
「ナルミ、頼んだぞ」
「ああ、任せろ」
鳴海お兄さんとレッシュさんのやり取りを聴きつつ、私は遠隔操作用に作っていた発明品を幾つか列車の床に並べ、ころばし屋さん達、おもちゃの兵隊達を配置して、いつでも戦えるように準備をする。
「ミコト、大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、しろがねさん」
「……あの時のように呼んでくれないか」
「フフ、エレオノール姉さん。大丈夫ですよ」
私は死んでもみんなを助けますからね。