命達を乗せて出発したクラウン号と名を与えられた列車は真っ直ぐ突き進んでいく最中、ゾナハ病を撒き散らすアポリオンという虫を伴ってガラクタ共が群れた虫のように入り込んできた。
「ヘースケ、変身しておけ」
「おう。変……身っ!!」
ギイの言葉に平助は胸の前で両腕を交差させ、緩やかに円を描くように手を振るい、左手の甲を右肘につけ、雄々しく体内の『気』を高め、開手のまま両手首を重ねるように丹田の前で構え、両腕を反転させた。
梅花の型をポーズに取り入れているのか?
「雀蜂だな」
なぜか夏場になると毎度のごとく蒼月潮の家に巣作りをするからと愛する
銀色の装甲と黒い身体に張り付く変わった服を纏った平助は感極まったように身震いしている。ギイのヤツも少し羨ましそうに平助を見つめている。
本当に男とはよく分からないものだ。
「行くぞ、ドグマ達!」
「どぐま?」
「テン、既に来ているぞ!」
私は平助の言葉に小首を傾げながら困惑していると壁や天井を突き破って現れたガラクタ共の接近を伝えるギイの言葉に意識を切り替える。
あとでドグマが何なのかを聴くとしよう。
「ケーイッ!!」
「糸色景の名前を気安く呼ぶな、糟がッ」
白面の者の妖気を解放し、三本の尻尾と鋼鉄の硬さを持つ髪の毛を振るい、無為に近付いてきたガラクタを薙刀で切り裂く私の背後に回り込んだ奴らを平助の拳が砕き、ギイの操るオリンピアが貫く。
「オイオイ、何体居やがるんだ!?」
「知らん」
「全く最初の威勢はどうしたんだ。シェイクスピア曰く『考えるのはあとまわし、まずは』────まずは、コイツらを破壊することだけ考えておけばいい!」
「クク、分かりやすくて良いな」
「ハッ。それなら得意だよ!」
銀色の腕を振るってガラクタを片足立ちのまま手足を伸ばし、十字方向を同時に攻撃する平助の動きの冴えに目を見張りつつ、やっぱり私と戦っていたときは手加減していたんだと理解した。
あとで仕置きしてやる。
「ッ、なんか悪寒が走った…!」
「浮気したら殺すぞ」
「ヘースケ、犯人は近くにいるようだ」
私の後ろでギャーギャーと騒々しく囀ずる男共に呆れながら薙刀に妖気を溜め込み、冥道残月破を放つも知能の低い奴らを何百体か吸い込んで消える。
「スーパーライダアァァ……月面ケェック!!!」
「平助?」
いきなり背後で爆発的に高まる気配に驚き、後ろに振り返るとガラクタ共に飛び蹴りを放っている平助の姿が見えた。何をやっているんだ?