【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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命ちゃん視点に戻ります。




線路の上で 序

ガタンゴトンと揺れる列車の振動に気持ち悪くなりながら窓の外をぼんやりと眺めていると真っ黒なものが走っているのが見えてきた。

 

昔見た映画のシーンに似ている。タタリとかそういう名前だった気もするけど、上手く思い出せなくて、ぼんやりと窓の外を見つめる視線が混ざる。

 

「勝君?!ヴぇッ…!」

 

カボチャのお化け。ジャック・オー・ランターンに乗った勝君とコロンビーヌの姿を視界に収めながら、気持ち悪さと吐き気を我慢して席を立つ。も、喉の奥が焼けるように熱くて気持ち悪いものを感じ、口を押さえる。

 

大丈夫。まだ、動ける…!

 

車両を移る途中、外付けの梯子を登って勝君の事を呼ぼうとする私の目の前に剣を構えた自動人形(オートマータ)が現れた。カピタン・グランツィアーノとは違う、真っ当な雰囲気の剣士です。

 

「最後の嫌がらせですか」

 

ぎゅうっと心臓を押さえるように左胸を右手で覆い、目の前に立つ両目を閉じている剣士を見つめる。既視感と忌避感の織り混ざった感情がある。

 

多分、彼は私の肉親を模している。

 

「名前は?」

 

「糸色姿」

 

「……随分とふざけた真似をしますね」

 

電光丸に搭載した剣術データの基盤たる人の名前を語る自動人形(オートマータ)に少しだけ、ほんのちょっとだけ……いいえ、ものすごく苛立ちを抱く。

 

私達の紡いできた血に貴方は含まれていない。

 

ゆっくりと電光丸を引き抜いて真っ直ぐ相手に切っ先を突きつけるように正眼に構える。正直、糸色姿様の身体を模している相手に剣術の腕前で勝つことは出来ない。

 

「一足、間合いだぞ」

 

「ひ、あぐぅッッッ!!?」

 

ビリビリと電光丸越しに身体に叩き込まれた衝撃と、いつの間にか(・・・・・・)刀を抜刀している自動人形(オートマータ)の姿に背筋が凍る。

 

肉眼で追えない剣の速さ。

 

異様な間合いの広さに身体が震える。

 

「(これが、神速の剣術家、明治時代に三人(・・)だけ存在していたっていう伝説の…人斬りッ)」

 

それを模しただけの自動人形(オートマータ)の筈なのに、どうして追い付けない?どうして、あの剣と斬り合えないの?電光丸の性能は負けていないはずなのにっ!

 

────違う。電光丸に私自身が合ってない(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「(分かっていましたけど。私の身体は剣術は愚か戦うことは出来ない、今までも道具に頼っていたから戦えていただけ、こうなるのは必然です)」

 

だけど、女にも意地はあるんです。

 

気持ち悪くても吐きそうでも負けるものですか!

 

 

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