「うっ!ひぐっ!?」
まだ一刀しか抜いていない
勝ち目は万に一つ、いえ、億に一つのギリギリしかありません。カピタンに使った科学剣を使えれば良いのですが、ここは足場も何もかも最悪の列車の上です。
「ふうぅ……」
フェイスレスに切られた髪を伝う血を手で拭い、ゆっくりとヒビや亀裂の入った電光丸を鞘に納めて、糸色姿の形を模している
「電光剣…!」
一撃必殺の攻撃を放つために電光丸の電圧制御を切り、列車の周りに幾度となく雷撃が飛び散り、地面を砕き、岩石を飛ばしている。
私に出来る最大級の技です。
「唐竹割りッ!!」
「浅はかな…効かないよ」
列車の走行する速さを利用し、飛び上がるように真っ向勝負を仕掛ける。でも、
素早く二刀目を抜き、電光丸の一撃を受け止めた。
────刹那、彼の持つ刀を通じて飛び散っていた雷撃は集まり、彼の身体を貫き、明治時代の最強を模した身体を真っ黒に焼き焦がす。
もしも人間だったら雷を放つ剣は受け止めませんから……正直、賭け事というより『芸』の観察に意識を注いでくれて助かりました。
「……電光丸、また壊してごめんなさい」
電圧に耐えきれず、砕けた電光丸を鞘に納めて、私達の戦いを観戦していたカピタン・グランツィアーノは勝君に勝負を挑みに向かってしまった。
おそらく私の動きを見るために、この
しかし、本当に疲れました。
「命、無茶しやがってッ」
「鳴海お兄さん?」
梯子を使って屋根に上がってきた鳴海お兄さんに手を掴まれ、落ちないように列車の中に戻してもらいながら、傷だらけの身体を少しずつ『並行世界の転写』で治すけれど。肩口に受けた切り傷は治らない。
ここはどの世界の私も受けているのですね。
そう一人で納得しながら、しろがねさんと鳴海お兄さんの二人しか乗っていない車両の端の席に座り、勝君とカピタン・グランツィアーノの戦いを見つめる。