仲町のおじ様達の待つ車両に移り、気持ち悪さと血を流して霞む視界を落ち着かせるために目を瞑っていると唇をタコさんみたいに伸ばす男の人達がいた。
「……どうかしたんですか?」
「き、気を失ったのかと思ってよ」
「そ、そうだぞ!他意はない!」
「色ボケ小僧どもが」
いろぼけ?
よく分からない言葉に小首を傾げつつ、蝶のおじ様が勝手に増やした『決め技スーツ』のベルト「タイフーン」を巻き付けているサーカスのみんなを見る。
「……ん?ああ、そういやベルトを作ってくれたのは嬢ちゃんなんだってな。コイツがありゃ多少なり無理も出来るってもんだ」
「それは……いえ、お願いします。でも、死んじゃったら勝君もしろがねさんも、私だって悲しいんですから無茶はしないで下さいね?」
そう言ってお髭の素敵な仲町のおじ様に私の身に付けていた赤いスカーフを巻いてあげる。一応、私の血も染み込んでいる物ですから、
「赤いスカーフって、親父だけズルい!!」
「え?」
「そうだよ!親父だけまんま1号じゃん!」
「フ、フン!俺は何でも構わねえんだぞ!」
いきなり赤いスカーフはいちご……いえ、1号?と騒ぎ出して取り合いを始めるお兄さん達に困惑しながら、シャカシャカと吸入器を振ってお薬を飲む。
フウのおじ様が取り寄せてくれた最後のひとつ。これが無くなったら本当に戦いが終わるまで苦しむことになるわけです。
そう思っていた次の瞬間、車両の後部が粉々に砕け、勝君とカピタン・グランツィアーノが落ちてきた。空中で戦っていた二人の戦いが、この狭い車両だけで?
「ぐっ、くそぉ…!」
「マスター!こんな狭い場所じゃジャコは使えないよ!空に出ないとマスターの家族まで巻き込んじゃうかも知れない!」
小さな鳥の
「立ちなさい、勝君。しろがねさんを守るんでしょう?」
「立つよ、ぼくは立てるッ!」
「フフ、良い子ですね」
『並行世界の転写』を使って傷だらけだった勝君の身体を癒やし、一番近くの見える席に座って勝君とカピタン・グランツィアーノの戦いを見つめる。
私は勝つと信頼していますから、どれだけ怖くても危険でも勝君に私の命を預け、最後まで見守ります。姉として、大事な弟を見守るのは当然です。
そう静かに私は覚悟を決める。
勝君、今だけはすべてを委ねます。