鳴海お兄さんと会おうとした勝君を止めたアルレッキーノとパンタローネに不満はあるものの、彼らの言っていることは正しくもあれば正しいわけでもない。
誰かの幸せと自分の幸せ。
それを天秤に乗せて重要性を計っている。勝君の「会いたい」という想いは、アルレッキーノとパンタローネはしろがねさんには不要な行為と断じ、勝君の行く手を阻んでいるのです。
「サイガミコト、お前はどう感じたのだ」
「私の気持ちは、会わせてあげたかった。それでも勝君は自分の気持ちよりエレオノール姉さんの一番好きな人と過ごす時間を選択した。……まだ、子供なのにみんな彼に押し付けすぎです」
パンタローネの問いかけに答える。
しかし、これは違う。
苦言、どちらかと言えば不満を混ぜた言葉を吐いて自己嫌悪してしまう。私の気持ちだって彼を想っての行動だと決めつけ、勝手にしてしまったこと。
私だって変わらない。
「待て、ミコト」
「何ですか。アルレッキーノ」
「おそらくお前と話す機会は最後だろう。以前、お前に聴かせると言っていたリュートの旋律を暫し堪能して貰いたい」
その提案に思わず目を見開いて、クスリと笑ってしまった。流石は
「分かりました。お聞きします」
「感謝する」
ゆっくりと席に座り、目を瞑る。
本来は敵同士だった相手に無防備な姿を晒して、静かに私のために彼が奏でる旋律を聴く最中、パンタローネの渋く力強い歌声も聴こえ始める。
讃美歌。
ただ、彼らの讃えるのはフランシーヌ人形だから常に彼らは彼女の事を想い、悩み、尊び、慈しみ、愛しているのでしょうね。
とても、とても、フェイスレスが貶していたような感情の分からない木偶人形なんかじゃない。しっかりと彼らも感じ、生きている事は分かります。
ほんの少しだけやり方を間違えただけです。
いえ、それだけフランシーヌ人形のことを想い続けていたのだろう。そうでなければ彼らの発する音は無機質な機会音声の筈でした。
「…良い曲と歌声でした。ありがとうございます」
「フン。歌など歌ったのは百何年ぶりか」
「私も今以上の旋律を奏でる事は不可能だ。最後に糸色景の子に音を捧げる名誉を賜った事、感謝する」
そう言うとアルレッキーノとパンタローネは鳴海お兄さん達の待つ車両に入ってしまった。彼らも最後の挨拶を送りに言ったんですね。
私は彼ら