【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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万軍の人形 序

凄まじい落下音に驚き、地面を見ると外套を纏った人形が転がり落ちていくところが見えた。今のは何だったのでしょうか?と小首を傾げる。

 

「あら、ブリゲッラを倒したのね」

 

「ぶ?」

 

いつの間にか列車に入り込んでいたコロンビーヌの呟きに戸惑いつつ、彼女に手を借りて停車した列車を降りるとスペースシャトルを持ち上げ、動かすクラウン号の大きな手が見えて、「ほえぇ…」と感心してしまった。

 

「コロンビーヌ、私の人形の指揮権を譲ります」

 

「裏切るとか考えないのぉ?」

 

「あり得ません。貴女は何度も勝君を助けてくれた大切な私達のお友達で、一緒に戦ってくれた仲間です。だから最後まで信頼していますよ」

 

そう言って私は笑いながら四次元ポケットから蛮竜を引き抜いて、重々しく地面に突き刺さる大鉾の柄を強く握り締めて、意識を保つ。

 

最後の戦いです。

 

蛮竜、幾度となく糸色家(わたしたち)を救ってくれた貴方に頼りたい。どうしようもなく弱くて貴方の遣い手には釣り合わない私に力を貸してほしい。

 

私はゆっくりと蛮竜を振り上げ、全身を覆う青白い雷光を確かめるように手を見つめる。ちゃんと動ける、ちゃんと戦える。

 

鳴海お兄さん達の出発まで時間稼ぎです!

 

「ピカピカで綺麗ねぇ」

 

「フフ、ありがとうございます!」

 

フエルミラーで無限に等しく増殖する『おもちゃの兵隊』達と足軽殺駆達を引き連れるコロンビーヌの言葉に笑顔を返し、津波のように押し寄せる自動人形(オートマータ)の群れに向かって駆け出す。

 

私には蛮竜の風の傷も熱風も使えない。雷撃は神経伝達を強める補強の類いですし、なにより私の持つ発明品はもう武器になるものはない。

 

「糸色命、参ります!」

 

「やっぱり人間って死ぬときは名乗るのね」

 

「私、死ぬときは好きな人の腕の中が良いです!」

 

「あら、それは私も同感よ!!」

 

クスリと笑って私達は攻撃を開始する。

 

もはや自我すら与えられていない自動人形(オートマータ)達の攻撃を受ける度に『並行世界の転写』を発動し、鼻血や血涙、吐血、耳血を流しながらも蛮竜を重さに任せて振り回す。

 

しかし、それよりも多くの砲弾やピエロの顔、帽子や手、ナイフが飛んでくる。それでも、私に出来ることは絶対にやり遂げる!

 

「コロンビーヌ、このマントを振って!!」

 

「デザインが悪いけど、こうかしら?」

 

私の投げ渡したマントをヒラリと動かした瞬間、私達を狙っていた飛び道具は跳ね返され、近くにいた自動人形(オートマータ)を破壊し、少しだけ間合いが出来る。

 

 

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