【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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巓様の視点になります。




星色の妖狐 序

逃げたガラクタを追いかけていたその時、私の身体に命の想いが流れ込んできた。負の感情も悪感情も混じっていない純心すぎる慈愛の想いだ。

 

「(目を覚ましたか)」

 

そう静かに安堵する私の首に何かが突き刺さる。

 

横から飛び出してきたものを確かめるために視線を動かせば、随分と情けないズタボロの姿になった楯敷ツカサが私の首に短刀を突き刺している。

 

「生憎、私の身体は特別製だ。その程度の攻撃で死ぬ様な柔な作りでは、大切なものは何も守れないからな。覚えておけ、糟が」

 

「今回は此方の負けだな。命から力は奪いきれず、糸色景には辿り着けない。おまけに、妖怪の力も吸収すら出来ないわけか」

 

「所詮、お前はその程度だ」

 

「……ハッ、なら限界を超えるまでだ!」

 

私の血を吸った短刀を持って灰色の壁に消える楯敷ツカサの事を一瞥し、互いに人形も壊れて戦えない才賀とフェイスレスを見据える。

 

腹から血を流すフェイスレス。あの位置を貫かれてはもはや助からない。が、あの程度ならば命や類が治すことは可能だろう。

 

「さっきのガラクタの執着心はやはりお前だったわけか。何とも呆気ない最期だ」

 

「テンさん、どうしたら?」

 

「さて、な。少なくともソイツは命や類が居なければ助かる見込みはない。だが、最期だ。自分の倅に手向けぐらいワタシテヤレ」

 

「つくづく癪に障るヤツだな。アルファ、お前が相手をしてやれ」

 

「才賀、話はお前がするほうがいい」

 

そう言って私は地面に座り込んだフェイスレスの目の前まで移動し、今まで感じていた不可解な違和感の正体を知るためにフェイスレスを見下ろす。

 

「最期に聞かせろ。お前の放つ悪感情は『諦め』ばかりだ。しろがねや命と会っているときも全て『どうでもいい』とすら思っていたな」

 

「……流石は、予言の一族だ」

 

ゆっくりと私は尾に腰掛ける。

 

「僕の人生は全て決まっていた。それを知ったとき、僕は道化でも観客でも主役でも無くなった。あったのは、ただ存在するだけの舞台装置さ」

 

成る程、違和感の正体はソレか。

 

「お前は糸色景の描く絵草紙を自分の未来だと誤認してしまったのだろうが、物語と人生は別物だ。かつての我が記された書物もあった。だが、すべて読み終えてみれば異なる事も多かった」

 

「へえ、そうなんだ」

 

「フェイスレス。ディーン・メーストル。才賀貞義。白金。少なくとも私は人に生まれ変わることが出来て、愛を知ることが出来て幸せだったぞ」

 

人の営みに憧れていた私らしく俗物な願いだ。

 

 

 

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