「糸色類の娘、才賀命だな」
「え?」
唐倶利武者の性能を確かめるためにお父様と四乃森のおじ様の同伴の元、山の上に建つ巨大な倉庫で実験を繰り返していたそのとき、ふくよかな恰幅の良いピエロの様なおじ様が佇んでいた。
お父様の知り合いなのかと後ろを見るも首を横に振り、僅かに嫌な雰囲気を感じ取る。多分、しろがねさんの話してくれた「
「俺はフランシーヌ様にお仕えする最古の
ドットーレ。
イタリア語で「医者」や「学者」、「博士」を意味する言葉を名乗る
「異国の同胞よ、其処を退け。俺は人間の身体を癒やすという力を持つ才賀命に話があるだけだ。なに、邪魔なら殺してお前にくれてやろう」
「ひっ」
「某のお仕えする姫君に何足る無礼千万、斬る!」
「類様の御子を殺そうなど何様だッッ」
私のために物凄く怒ってくれる二人に嬉しく思う反面、ふと違和感に気付く。ドットーレと名乗った
キリキリと何かを締める音が聴こえ、丸いものが私とお父様を狙って飛んでくる。あれは、円盤?違う、僅かに盛り上がっている。
「何か投げてきます!」
「ヌゥンッ!!」
刹那、ギュルリッ…!と車輪を基点に身体を回転させて唐倶利武者は刀を振り上げ、突風を巻き起こし、私達に飛んでくる物を切り落とした。
「パンタローネと似た風を使う
「ぱんだ捏ねるなど知らぬでござる。某の名は唐倶利武者、百万を越える機巧軍の侍大将に候う。不意打ちせず、貴様が参られよ」
「フン。異国の同胞よ、俺が出向かずとも俺の手足がお前を引き寄せるのさ」
「唐倶利武者ッ、お嬢様を守れ!」
「承知!」
四乃森のおじ様がそう叫んだその時、私はお父様を突き飛ばして、いきなり目の前まで伸びてきた手に私は抵抗する間もなく掴まれながらお父様を見る。
良かった、ちゃんと無事だ。
「貴様!」
「……人間、お前軽すぎないか?」
「え?ちょ、きゃああぁぁっ!?振らないでッ、ゔえっ、おぶっ、出ちゃう゛ッ」
ブンブンと上下に振られる反動に悲鳴を上げるも直ぐに普段の乗り物酔いに似た感覚に襲われ、吐きそうになって両手で口許を押さえながら訴える。
女の子として、殿方の前で吐くわけには…!