勝君と他の小学生を無事に救出した翌日のお昼頃、私達の暮らす家を取り囲むように現れたマスメディアの方々を避けることなく、お父様もお母様も堂々と仕事へ向かい、勝君としろがねさんも堂々と学校に向かう。
私は屋敷に残って唐倶利武者の車輪を直す傍ら。昨晩の出来事を思い出して、いつでも発明品を仕舞えて自由に取り出す事の出来る発明品を探す。
あのまま車を止めなかったら、きっと危ないことになっていたはずだ。そうなれば勝君と他の小学生達は大怪我をしていたかもしれない。
そうならなくて本当に良かったと思う。
「『四次元ポケット』…」
ワームホールを作り出して無限に物を収納できる発明品。でも、こんなものを本当に作ることは出来るのだろうかと小首を傾げながら大百科を読む。
「袖や帽子、ポーチにもなるんだ」
一体、どういう仕組みで腕を通しているのかな?と思いながらポーチにしようかと考える。でも、いきなり作るのは危ないので手順を間違えないよう、しっかりと大百科を読み、『癒やしの力』を多用しない言いつけを守るために、医学に関する項目も読み進める。
ふと、紙が貼り付いて読めないページを見つける。
「これは、糊かな?」
まだ見てはいけないという事なのだろう。
おじ様に買い出しをお願いしようと振り返った瞬間、金色の蝶々が大百科に止まっているのが見えた。また、あの時の蝶々────。
私を監視しているのか、見守っているのかは分からないけれど。何かを伝えるために現れているのは何となく分かります。
「唐倶利武者、あの蝶々について知ってる?」
「はっ。某は何も存じませぬ」
「そう」
やっぱり、唐倶利武者も知らない。それなら絶対に私を見ているのは糸色家でも才賀家の人でもない。全く別の人達なんだろう。
「(私を見守って楽しいのでしょうか?)」
「姫君?」
「あっ、なんでもないよ。ありがとう」
唐倶利武者のエネルギー源を確保するために『原子ろ』を取り付ける事も考えた方が良いわよね。食事は、みんなで食べることが出来るのが一番幸せだもの。
そう考えながら工具と材料の点検を行っていると寝室の扉を無造作に開けて、巓ちゃんが私の部屋に入ってくるなり、私の頭を掴んだ。
「痛い痛い痛い痛いっ!!」
「私宛に送ってきた、あれはなんだ?」
「『畑のレストラン』のタネだよ!?お団子でも無いから注意してって手紙も同封していたと思うんだけど、巓ちゃん読んでないの!?」
「シャガクシャに植えたのを食われた」
しゃが?
いったい、だれだろう?