カッコいい男の人を三人も連れているせいか。
私の事を物凄く睨み付ける視線や舌打ちを繰り返す声が聴こえてきて泣きそうになる。
うぅ、私はただ勝君としろがねさんのために役立てる方法を知るために阿紫花のお兄さんに無理を言って人形劇やサーカスの聖地とも言えるフランスへやって来ただけなのに酷い。
「エスプレッソを」
「あたしはコーヒーを」
「コイツと同じので」
「私はミルクでお願いします」
コーヒーを飲むとお腹が痛くなってしまうので、もう少し大人になったら挑戦しようかと思っているのは内緒です。お父様は大きくなってもミルクと砂糖を加えたカフェオレにしてしまえば大丈夫だと言うけれど。
いつか立派な大人になったときにコーヒーを飲めないのはダメだと思うので少しずつコーヒーを飲めるように、こっそりと努力している。
「改めて自己紹介をしよう。僕の名前はギイ・クリストフ・レッシュと言う、君の事は母親のルイに聴いているよ。ミコト・サイガ」
「お母様の知り合いなんですか?」
「僕はお医者さんなのさ。シェイクスピア曰く『恋の精』。僕は久しく忘れていた心を上回る感情の起伏に胸が燃え上がるような想いだ」
「ウソ。私に抱いているのは違う感情ですよね?」
ふと、そう思ったことを口にする。
これでも私は才賀グループの人間です。お父様やお母様の力を利用しようとする人達のウソを何度も見て来たので軽くて薄いウソは直ぐに分かる。
さっきロケットペンダントに話しかけていたときは少なからず本心も混じっていましたから心配しましたけど。そういうウソは私には通じません。
「けっ。お得意の口説き文句も通じねえって」
「失礼だな、ナルミ。僕は等しく出会ったレディには愛を囁こうと決めているんだ」
「ありゃあ、顔だけじゃなくて根も色男ですぜ」
「フフ、シェイクスピアではありませんけど。高祖母様は言っていました。『全ての女性は等しく美しい』。愛も恋も女の子を彩る綺麗なお花なんです」
フンスと胸を張ってそう告げる。妙叔母様も同じように高祖母様の残した格言を気に入っているので、よく素敵な言葉を沢山教えてくれました。
「良い言葉だ。確か糸色景の言葉だったか」
「いとしきけい?誰だそれ」
「全く、ナルミは教養が無いね。糸色景と言えば世界経済の20パーセントを牛耳る糸色財閥の立役者、相楽左之助の妻にして世界を支配していたというチープな黒幕説を囁かれる女性だ」
「世界を支配ねえ?」
どうして、みんな私を見るのでしょうか?