鳴海お兄さんとギイ・クリストフ・レッシュさんの宿泊しているホテルの一室を借りて、私と阿紫花のお兄さんはお泊まりすることになりましたけど。
何故か阿紫花のお兄さんは鳴海お兄さんとレッシュさんに物凄く怒られていて、よく分からないけれど。また勝君にしたような悪いことをしたらダメだと注意されていたんだと思う。
「お嬢さん、ソイツは人形ですかい?」
「はい。唐倶利武者と一緒に居てくれたからくり人形なんですけど。少し無口ないぶし銀?というヤツだとお父様は言っていました」
そうお兄さんに説明しながら私はトランクケースに入って私の着替えやお財布など日用品を守ってくれていた第二の家臣を名乗る発明品『忠臣倉』の事をお兄さんに紹介する。
倉のような見た目に目と口、眉毛のあるからくり人形の忠臣倉は静かに一礼し、薙刀を取り出して構える。武器の使い方は完璧だと唐倶利武者のお墨付きを貰えるほど優れた腕前なのだ。
「ははあ、こりゃまた中々に渋い眉毛だ」
「フフ、かっこいいでしょう♪︎」
「お互い数週間の仲になりやすが、この無自覚なお嬢さんを守りやしょうぜ」
「うむ」
「わあ、忠臣倉がしゃべりしました!」
どうやったんですか?とお兄さんに問い掛けるも「男には男同士のやり方があるんですぜ」とはぐらかすように、クシャリと私の頭を彼は優しく撫でながら微笑み、部屋を出ていってしまった。
……うぅ、なんだかズルく感じる。
そう思いながらワンピースに着替える前に日焼けしないようにクリームを塗る。背中は届かないので忠臣倉に頼んだものの、何故か動きが遅い。
不具合は再調整して無い筈なんだけど。
小首を傾げながら忠臣倉の事を抱っこしているとドアをノックする音が聴こえ、もう帰ってきたのかな?と思いながら「入っても大丈夫です」と伝える。
「失礼するわね」
「こんにちは」
「?あの、部屋を間違えてきますよ?」
綺麗なお姉さん達が部屋に入ってきたものの、ルームサービスとは思えない格好で、にこやかに笑いながらお姉さん達は私の両隣に腰掛けてくる。
「えと、あの?」
キョロキョロと左右のお姉さん達を見上げ、忠臣倉を抱き締める力が少し強くなっていたその時、バンッ!と勢い任せにドアを抉じ開けてきた阿紫花のお兄さんと鳴海お兄さん、レッシュさんが部屋に駆け込んできた。
「お嬢さん!!」
「ひゃいっ!」
お兄さんが手を伸ばしながら叫び、上擦った声で返事を返しつつ、同じように手を伸ばした瞬間、私の身体は忠臣倉と一緒にお兄さんの腕の中に抱き込まれる。