私とお兄さんの借りていた部屋は身体を曲げて割ったりしながら身体の中に内蔵していたマシンガンを乱射するお姉さん達によって破壊され、私は呆然とその光景を見続けることしか出来なかった。
「ギイ!テメェ、さっきの話はマジだったのか!」
「当たり前だ。君みたいなイノシシマンに嘘を言ったところで信用しないだろうからね、実際に見てもらえば信じると思っていたんだ。尤も想定外の事もあるが」
「成る程、あたしとお嬢さん……いや、才賀と糸色の血を引いているお嬢さんを狙って部屋にやって来たってわけか。奴さんはまた何か面倒事を起こしそうだ」
「……すみません、お兄さん…」
「お嬢さんが気に病む必要は無いんですよ。あたしはアンタとなら退屈しそうにない旅行になると承知でお誘いに乗ったんですぜ?」
そう言うと阿紫花のお兄さんも大きな旅行鞄の鍵を開け、紫色の忍び装束を纏った懸糸人形。糸色景謹製の操り人形たる「次郎丸」を呼び起こす。
「糸色側尽きの人形遣いか。───ならば、僕とオリンピアもその
レッシュさんも旅行鞄を開けた刹那、真っ白な天使のような懸糸人形が飛び出し、私と鳴海お兄さんの二人は人形同士の戦いを隠れて見ている。
「……あ、頭が痛くなってきたぜ。
「鳴海お兄さん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、大丈夫だ。たぶん」
銃弾を弾く旅行鞄を盾にして私を抱き締めて守ってくれる鳴海お兄さん。フフ、お父様以外の男の人に抱き締めて貰うのは三回目です。
一人目は阿紫花のお兄さん、二人目は勝君、そして三人目が鳴海お兄さんだ。なんだか私が少女漫画のヒロインになってしまったように思えてしまいます。
「ナルミッ、そっちに行ったぞ!」
「馬鹿野郎、此方には命がいるんだぞ!?」
「鳴海お兄さん、頑張って下さい!」
「ちっきしょおぉ!!」
私は何も出来ないので応援しながら握り拳を作ると彼は旅行鞄を飛び越え、二段蹴りを繰り出し、そのまま身体を捻って飛び回し蹴りを放ち、銃身をへし折り、地震かと思うほど力強い踏み込みと一緒に打ち込まれたパンチが人形のお姉さんを吹き飛ばした。
「パンチで人って飛ぶんだあ……」
「まあ、鍛えてりゃこんくらい出来るぜ」
そう言って右腕を叩く鳴海お兄さんに近付き、銃弾が掠めて血を流している頬とこめかみの近くを『癒やしの力』で治してあげる。
「けほっ、ケホッ…」
「バッ、俺に使わなくて良いんだよ!?」
「でも怪我は放っておくと危ないですし…」
私の事を心配してくれる鳴海お兄さんの傷を治して、ほうっと安堵の息をこぼす。良かった、身体の中に銃弾が入っていたら私じゃ摘出できないし、『癒やしの力』だけじゃ治せなかったから……。