「秘密基地みてえだな」
「ああ、分かりやす。ガキの頃に作ったりしてね」
「おっ。分かるか!」
そう言って地下施設の中を見渡す鳴海お兄さんと阿紫花のお兄さんの二人の言葉に私は小首を傾げる。秘密基地というのは子供の頃に作るものなのかな?
「僕は作っていない」
「まあ、男の浪漫というヤツさ。Ladyには少し難しいかも知れないが、男というのは頭で考えるより魂で直感した事を優先してしまうときもあるのだ」
「そうなんですか?」
「ははあ、それをあたしに聴きますかい?」
「お兄さんのお話が一番気になりますから」
私の質問に悩ましそうに唸るお兄さんの歩みが止まり、私も足を止めておじ様に視線を戻す。大きな車からバイクまで、銃器や刀剣、槍なんて物も用意された場所に私はまたしてもビックリしてしまった。
色々なものがあるとは聴いていたけど。
こんな危ないものまで置いてあるんですね。
「こりゃあまた物騒な秘密基地ですぜ。見てくだせぇ……ああ、お嬢さんには刺激が強そうだから、こんなものは見ちゃダメですよ?」
「え?きゃあっ!?」
いきなり目元を覆われたかと思ったその時、私が動けないように阿紫花のお兄さんの大きくて太いもう片方の腕が私の身体を抱き締める。
「さ、さっきより密着してますよ!?」
「おや、こういうのは嫌ですかい?」
「そ、そういうわけじゃ……でも、その…」
い、良いんでしょうか。
お父様やお母様のように仲睦まじく愛し合う男女の距離感だと思うのですが、こんな風に抱き締めるのはお付き合いもしていない男女でしてはいけないのでは!?
アワアワと私が混乱している間に鳴海お兄さんとレッシュさんが私には見せられないものを片付けてしまったらしく、すぐに解放して貰えた。
「ど、ドキドキしすぎて心臓が…」
ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら吸入器をシャカシャカと軽く振り、お薬を飲んで早まっていた動悸も収まり始める。私は恋愛には疎いですけど、少女漫画はお友達に借りて読んでいるんです。
そう言った行為はお付き合いしてするものです。
「クク、お嬢さんは
「うぶ?」
「可愛いって事ですよ。ほら、車に乗りましょう」
……なんだか誤魔化されたような気もしますが、私は阿紫花のお兄さんに片手を握って貰い、優しくエスコートを受けつつ、大きな車の後部座席に座る。
「ギイ、お前は助手席だ」
「何を言う。医者の僕が彼女の隣に座るべきなのは島国の田舎猿のナルミでも分かっているだろう?」
私も日本人なのでおサルさんなのかな?