ブッ殺し組を名乗るロングコートの男の人達はお父様と私の存在を無視できず、一時的に退却する事を宣言し、私は未だに状況を把握できていない。
それでも分かるのは「くろが」という人達とお父様は知り合いで、銀髪のお姉さんとロングコートの男の人の使っていた人形には勝君が関わっているという共通する事もあるということです。
しかし、ようやく勝君に会えました。
「お、お兄ちゃん…」
「お坊っちゃま、お下がりを」
「だから一旦落ち着けって言ってんだろうが!」
キリリッ…!と糸の伸びる音と共に駆動する黒い人形にビクリと身体を強張らせながらも血を流す銀髪のお姉さんの顔に手のひらを翳し、ゆっくりと人を癒やす蛍火色の光を彼女に捧げる。
「傷が…?」
「フフ、とても綺麗なお顔に傷が残ったら大変ですかッ、ゲホッ!ケホケホッ…!」
「無茶をしないでくれ、命!そちらの医者、すまないが部屋を借りても良いか。この診療所の建て替え費用も私が払う」
私の身体を抱き上げてくれたお父様に申し訳なく思いながら壊れていないソファに運んで貰い、吸入器を使ってお薬を飲ませて貰う。
「取り乱してすまなかったね」
「いや、自分のガキなら心配するだろ」
鳴海お兄さんの言葉に銀髪のお姉さんと勝君も小さく頷きつつ、黒い人形はトランクケースの中に折り畳まれていき、敵意はもう無いことを教えてくれました。
良かったです。
誰かと戦ったり傷付いたりするのは苦手だから、誰も傷付かないなら安心できる。───けど、私もお父様もほんの少しだけ勝君に怖がられている。
「初めまして、勝君。私は才賀命って言います」
「さいが?お姉さんも、才賀なの?」
「そこに付け加えると君の従姉妹で、お姉ちゃんになります。気軽に、命ちゃんかお姉ちゃんと呼んでもらえると嬉しいです♪︎」
「コラ。いきなり勢い任せに言うものじゃない。すまないね、勝。私は君のお父さん、貞義の弟の才賀善治というんだ。兄さんの代わりにはなれないけど、君のお父さんにしてもらえるかい?」
「え?あ、しろがね、どうしたら?!」
「わ、私も予想外の出来事で…」
お父様の言葉に戸惑っている銀髪のお姉さん……しろがねと呼ばれた彼女と勝君の姿に思わずクスクスと笑っていると鳴海お兄さんから苦しげな溜め息が漏れた。
まだ怪我が痛むのかと左手を伸ばしていたとき、パシリと手を握り締められて「さっきとあのときもそうだが、使ったら苦しいんだろ?」と言われ、ぱちくりと目を見開いて驚いてしまいました。
私の知っている人は「お金をやるから治せ」と怒鳴る人が多かったので、こうして私を心配してくれる人はお父様やお母様を除けば、従姉妹と伯母様だけです。