ぽろぽろと零れる涙をハンカチで拭き取った私は地面に降りると阿紫花のお兄さんが全員に怒られていた。なぜ?と困惑する私に鳴海お兄さんが近づいてくる。
「とりあえず、バカは殴っといた」
「け、喧嘩はダメですよ?」
そう言いながら私は怪我をしている阿紫花のお兄さんの怪我を治してあげる。もっと医療系の発明品を作るようにした方がいいのだろうか。
「けほっ」
「ダメですぜ、お嬢さん。あの時も無茶したんですから、あたしに癒やしの能力を使っていたらまた倒れるのはお嬢さんだ」
「そう思うなら泣かせるな」
また怒られる阿紫花のお兄さんの傍を離れ、胸に穴を開けているおばあさんに『癒やしの力』を使おうとした瞬間、私の手は優しく弾かれた。
痛くはないけど、ビックリしてしまった。
「馬鹿な真似はおよし。アンタの身体は目には見えないが、随分と酷使し続けている。私の傷を治したら年単位の入院か、悪ければ死んでしまうよ」
「……フフ、おばあさんら優しいんですね。でも、そんなに心配しなくても大丈夫です。私も苦しくない程度に力を使うだけですから」
「おばあさんじゃないよ。全く、あんなにか弱かったあの子の子供が随分と大きく育ったものだね」
「え?」
「ミコト、アンタはアンタが思っている以上に沢山の物を託されて背負わなくちゃいけない。老いぼれに力を使わず、もっと必要とする者に使いなさい」
ゆっくりと立ち上がったおばあさんの身体に開いていた穴は塞がっていき、その光景に思わず唖然としてしまう。現実味を感じない現象だけど。
今のも歴とした科学の一つだと思う。
レッシュさんの話していた「
───ならば、私のやることは研究です。
「(糸色景様は僅か数十年の間に沢山の方々と交流し、未来のために色々な物を遺産として残してくれた。『癒やしの力』も大百科も家宝の槍も全て……)」
お母様と叔母様は世界を救った。
私に出来ない道理も理由もありません。糸色景様、貴女に託された大百科と共に私は絶対に
こんな弱い身体でも出来ることがある。そう思うことが出来るのも貴女のおかげです。そう思っていたとき、グンッと喉に詰まるような痛みと心臓の動機が不規則に乱れ、その場に座り込んでしまう。
「ケホッ、ゲホッ…!」
「お、おい、大丈夫かよ?ギイ、あの『
「無理だ。糸色の血は『
「すう、ケホッ…はあ…こほっ……」
「肺も雑音が多い。長距離を移動した上、異性と長く居すぎた緊張による疲労も溜まっている。ルシール、傍についていて貰えるか?」
「仕方ないね。おいで、ミコト」
「す、すみません、ゲホッ」
折角、頑張ろうと思ったのに格好付かないです。