【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

56 / 255
楽士、見参 破

「オレはケニス。しろがねに名乗ってやるんだ、有り難く思って死にな!」

 

「そして、オレがアノス。お前らを切り刻んでやるから楽しみにしてな!」

 

そう言うとアルレッキーノと名乗った自動人形(オートマータ)の左右に並び、独楽やナイフをジャグリングのように手のひらで回すピエロ風の自動人形(オートマータ)達は阿紫花のお兄さん達に近付く。

 

「さあ、糸色の姫君は此方へ」

 

「お断りします!」

 

四次元ポケットに仕舞っている発明品を手の感覚だけで確認しながら私に歩み寄ってくるアルレッキーノを見据えていたその時、私の腕の中に居た忠臣倉が観音開きの門を開けて、槍を構える。

 

その間に四次元ポケットを探っていると指先にあるものが触れた。これなら今の私でも、今の私だからこそ使えるものだ。

 

自動人形(オートマータ)……いや、違うな。そうか、お前は糸色景の造り上げた機巧人形(カラクリ)の一体だな。一足の鎧武者は何処にいる?」

 

アルレッキーノの問いかけを無視し、ダンと地面を蹴って飛び上がった忠臣倉はリュートによって薙ぎ払われ、壁に激突する。頭の瓦の数枚が砕け、地面に落ちる前に抱き締め、受け止める。

 

「忠臣倉…!」

 

「大きさを考えて動け。お前の役目は家守だろう」

 

侮蔑。

 

そう表現するしか無い眼差しを忠臣倉に向けるアルレッキーノを睨み付け、私はスカーフを解いて壊れ掛けている忠臣倉の身体を包み、部屋の端に下ろす。

 

私のためにごめんね、忠臣倉。

 

「私の大切なお友達を傷付けた事ッ、許さない!」

 

「お嬢さん!?自分から近付いちゃ…!」

 

四次元ポケットに右手を差し込み、一気に横一文字に金色の蛍光を発する刃渡り2尺(60cm)の光る日本刀を振り抜いて、彼の持つリュートの弦を切り裂く。

 

『秘剣・電光丸』

 

奇天烈斎様の大百科に載っている自動迎撃チャンバラ刀。高電圧を発して相手の意識を奪う護身用スタンガンの日本刀バージョンとも言える武器をもう一度左腰に添えた充電器の鞘に納め、時代劇に幾つも登場する構えを見様見真似で行う。

 

「光る、刀!?」

 

「命、お前……戦えるのか?」

 

「いいえ、持って3分です!」

 

みんなの言葉に素直に答える。

 

その理由は電光丸を使えば自動的に攻撃と防御を行って貰えるものの、その速さに私の身体は付いていけない。況してや私は病気を患っている。

 

戦うなんて無理に決まっているんです。

 

それでもお友達を傷付けた彼には仕返しとして絶対にビンタを叩き込みます。お母様が悪いことしたお父様によくしていますから!!

 

「才賀命、電光丸でお相手します!」

 

「その心意気は良かろう。この真夜中のサーカスの楽士、アルレッキーノが相手をしよう。そして、私が勝てば否が応でもフランシーヌ様の元に連れていく」

 

えぇ、その宣言は分かっています。だからこそ事前に発明品の幾つかを地面に置いたんです。私は貴方に勝てませんからね。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。