所変わって、日本────。
私はいけ好かない羽虫に命の日本出立の話を聴き、あの汚くて古いだけの
「巓、どうかしたのか?」
「五月蝿い。話し掛けるな」
「そういうけど。此処、俺の部屋だぞ?」
そう言って寝台に腰掛けて壁を背凭れにして命の寄越した手紙を読んでいる私を見下ろす黒賀平助を見据える。私より背丈は大きくシャガクシャや蒼月潮の様に無駄な肉塊を鍛えた男に舌打ちをする。
私とて貴様の近くに居たい訳じゃない。
あの羽虫の伝言を受け取る役目を担っているのがお前だから仕方なく部屋にやって来ているだけだ。そもそも私の尊き肢体を勝手に見るな。
「自分の外見を考えろよ、全く」
「私は私の美しさは自覚している。貴様に言われずとも貴様の情欲は感じているぞ、着物の裾が緩む度に動きが強張るのも丸分かりだ」
私の言葉に動きを止める黒賀平助はゆっくりと振り返り、右手を突き出してきた。ドンと鈍い音が壁伝いに響き、私の手は黒賀平助と重なってしまう。
やはり大きく硬い手だ。
「オイ。あんまり嘗めんなよ?俺は男だぞ」
「何だ、か弱い私を手篭めにしたいのか?」
「ッんだあ!?違う、そうじゃなくてな!?」
「クク、本当に間抜けな男だ」
頭を抱えて真っ赤に染まった顔を此方に向ける男の頬に手を添えて、格好付けようとして失敗した愚図の事をしっかりと見据えてやる。
私の愛する
全く持って愉快な事だ。
そう思っていると不満そうに黒賀平助は立ち上がり、部屋を出ていこうとする。私の許可も得ずに退出しようとするな。お前は私の所有物だろう。
髪の毛に包まれて床に倒れ伏す黒賀平助の背中に座り、何か言いたげに私を見上げ、仰ぎ見る黒賀平助に笑みを向けてやる。
「巓、巓さん、巓様、重いです」
「鍛え足りないだけだろう?」
「ぐっ、悔しい…!」
私を乗せたまま上下に動き始める黒賀平助の馬鹿なところを楽しみつつ、私の愛する
コイツの感情は面白くて堪らない。
もっとも私が一番好きなものは無二の愛を注いでくれる愛する