診察を終えて数時間後。
私は電光丸の稼働時間を伸ばすためにローエンシュタイン大公国でも買える部品を使って、バッテリー容量を少しだけ増やす。電圧出力を一時的に下げ、鞘型の充電器も今はコンセントに刺して充電中です。
電池内蔵型の『名刀電光丸』とバッテリー型の『秘剣電光丸』では種類も違う。名刀バージョンは打刀、秘剣バージョンは脇差し。大小一対の拵えと考えれば良いんでしょうけど。
私の体格で振るえるのは秘剣の方だ。
「命、パンだけで本当に良いのか?」
「ジャムも塗っていますので問題ないですよ。鳴海お兄さんは本当にお結びで良かったんですか?もっと沢山の物を呼べますよ?」
「いや、これで良いんだ。白飯最高だぜ」
そう言うと鳴海お兄さんは私の作った発明品『グルメテーブルかけ』で呼び出されたお結びとお味噌汁を美味しそうに食べている彼は笑った。
私もお米はすきです。
「しっかし、命のポケットに入ってるヤツはあぶないのもあるんだよな?」
「護身用の機巧人形が何体かいるだけです」
忠臣倉にも『キカイソダテール』の固形化バージョンと飲み物バージョンを渡して、お膝の上に乗せながら私も小さなパンを千切って食べる。
「良いワインを取り寄せる。むさい男が三人の窮屈な仕事になるかもと思っていたが、存外悪くない仕事かも知れないね」
「フフ、ルシールおばあさんはワインがお好きなんですね。私のお父様もワインが好きですけど、実はキャンディゼリーも大好きなんですよ♪︎」
昔は病気のせいで寝込みがちな私とお医者さんのお母様に隠れて、こっそりと一緒に食べていたときは物凄く怒っていました。
もっとも今にして思えばお父様はほんのちょっとだけ甘いものを食べすぎだったんだと分かります。……早くお父様とお母様に会いたいです。
そう思っているとルシールおばあさんが私の頭を優しく撫でてくれた。レッシュさんは珍しいものを見るように、鳴海お兄さんは優しく快活とした微笑みを浮かべ、私の方を見つめている。
阿紫花のお兄さんも居たら笑ってくれるかな。
「ミコト、つかぬことを聞くがこの食事の代金は何処で支払っているんだ?」
「私の貯金箱です。と言ってもお父様の用意してくれた貯金箱なので大して大きくもありませんね。精々、あのお家より大きい程度です」
私の指差す方に皆さんが目を向け、ルシールおばあさんは深い溜め息を吐いて、レッシュさんは呆れながら、鳴海お兄さんは呆然としています。
いったい、何故でしょうか?