ローエンシュタイン大公国滞在三日目、私は公女様の誕生日をお祝いするというパレードを町の人に聴き、ほんの少し人混みに紛れて見守っています。
一応、護身用として刀袋に電光丸は仕舞っているけれど。まだ充電中のため振れても抜いてしまうと直ぐに充電切れを起こし、まともに動けない私はあっさりと殺されてしまうでしょう。
「命、あんまり先に行くなよ?」
「もうっ、私は来年で高校生になるんですよ?私を大切に思ってくれるのは嬉しいですけど、鳴海お兄さんも少しは信用して下さい」
「分かっちゃいるんだが、どうにもな」
子供のために怒る事の出来る鳴海お兄さんはいい人なのでしょうが、どうにも彼は私の事を守るべき子供だと思っているように感じる。
お胸もクラスで一番大きいし、それなりに頭も良いと思うんですけど。どうして、鳴海お兄さんは私を子供扱いするのだろう。
「鳴海お兄さん、そう言えば思い出せましたか?」
「……いや、お前の話を聴いても思い出せない方が多くてな。ギイが言うには脳が思い出すのを拒んでいるのせいか、しっかりと思い出せねえんだ」
エピソード記憶の一時的な欠落ということでしょうか?なんて事を考えながらパレード開催を知らせるクラッカーの音が響いていたその時、人混みの中に全身に包帯を巻いている人影を目撃してしまった。
「鳴海お兄さん」
「嗚呼、俺も見た」
私の頭に乗っていた忠臣倉にレッシュさんとルシールおばあさんを呼んできて欲しいとお願いして、私は刀袋の紐を解いて電光丸の柄に手を添える。
まだ筋肉痛で痛いけど、我慢です。
そう思っていた刹那、全身に包帯を巻いた
「ちょ、っと、通して!」
悲鳴と叫び声の入り雑じるパレードの見物客を押し退けようとするものの、私の身体じゃ外国の人達を押し退けることは出来ず。
「ごめんなさい、こうなったら仕方ないです!」
そう先を行く鳴海お兄さんに声を発しながら四次元ポケットに手を差し込み、身体を軽くして浮かせる発明品『空中浮輪』と頭に添えて跳び上がり、もう一つの発明品を取り出しながら左手で電光丸を抜刀する。
「そのまま包帯を斬ってくれェ!!」
「はいっ!!」
ゴーグル型の発明品『鈍時鏡』を身に付け、肉眼では捉えきれない高速で動く包帯を見据える。
───すると、ゴーグルを通して見える世界はテレビのスローモーションのように遅く見えて、電光丸を握る手ぎ全ての包帯を切り裂き、電光丸の充電が切れる。
「鳴海お兄さんっ、お願いします!」
そう言って私は地面にゆっくりと着地する。