【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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場所は代わり、スペインのどこか───。






からくり編
微笑みの地獄 序


「けほっ、けほっ」

 

「ミコト、無茶はお止し」

 

「問題ないです…!」

 

私の名前を呼んで心配してくれるルシールおばあさんの言葉に返事を返しながら、稼働時間を更に増やした電光丸を構えて自動人形(オートマータ)の疑似体液を電圧沸騰させ、思いっきり蹴り飛ばす。

 

フランスを飛び出して、ヨーロッパ圏のあちこち、ここスペインにやって来ても『柔らかい石』は見つからず、私の事を捕まえようとする自動人形(オートマータ)も加わり、私もかなり体力を消耗している。

 

「ナルミ、ミコトは倒したぞ」

 

「わぁってるよ!!」

 

レッシュさんの少し煽るような声援を受ける鳴海お兄さんは素早く人形の両腕を切り落とし、そのまま飛び後ろ回し蹴りで頭を砕き、私よりも強く惨たらしく粉々に自動人形(オートマータ)の身体を破壊してしまった。

 

やっぱり鳴海お兄さんは強いです。

 

ここに阿紫花のお兄さんもいれば苦戦する事も危ないことにならなかった可能性もあるけど。彼に何かを伝えた人がいるのも事実です。

 

どうしたら、また会えるかな……。

 

電光丸を鞘に納めて鳴海お兄さんに抱き上げて貰い、地面に降ろして貰う。もっと発明品を作る時間も欲しいですけど、やっぱり難しいですよね。

 

「……鳴海お兄さん?」

 

「柄?あ、ああ、すまねえな」

 

私をお姫様抱っこしたまま、ぼんやりとしていた彼の事を呼ぶと謝ってくれたものの、どこか心ここにあらずという感じで悩んでいる様子です。

 

「ナルミ、野蛮なイノシシマンのごとく突撃しか出来ないお前が悩み事とは珍しい。この僕に悩み事を話し、存分に笑わせると良い」

 

「うるせえよ」

 

「ああぁ~~~~んっ!ママンのペンダントぉ!」

 

チャリと手慣れたようにレッシュさんからペンダントを奪ってしまった鳴海お兄さんの手際の良さに感心しつつ、シクシクと泣いているレッシュさんと手を繋ぎ、ベンチに腰掛けて彼に膝枕をしてあげる。

 

「よしよし、レッシュさんは良い子ですよぉ」

 

「ママン、ママぁ~ン」

 

よしよしと彼の頭を撫でながら慰めてあげます。大きな子供が出来たみたいで、なんだか可愛く想えてきます。ルシールおばあさんはレッシュさんに心底軽蔑したような害虫と出会った眼差し。

 

例えるなら社交界で女の子に慕われて少しデレデレするお父様を目撃したお母様のように、それはもうすごい侮蔑の眼差しを向けていますけど。

 

「百回死ね。でも、あなたが死んだら治す。浮気したら殺す。でも、治してあげる。手が触れても殺す。そうしたら治してあげる。にやけても殺す。私に微笑んだら治してあげる。会話しても殺す。私と愛を語ったら治してあげる。乾杯しても殺す。ずっと貴方は私だけを見えていれば良いのよ」と、それはもう凄い感じで言っていましたし。

 

きっと、気のせいでしょう!

 

 

 

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