ヘンテコなバイクに乗って消えた「たてしきつかさ」という男の人の事を考えつつ、『癒やしの力』も普通に戻った事に小首を傾げながら治療用施設前で駄々を捏ねる鳴海お兄さん達を見つめる。
「やっぱり、やだよ。いいよ入るの!」
「往生際が悪いぞ、ナルミ!」
「アンタより小さい子が覚悟を決めているのに、バカな事をやってるんじゃないよ!」
「押すなって、おいばか!?」
ベチン!と頭から自動ドアにぶつかった瞬間、笑い声が聴こえてきた。それも沢山の子供の笑い声が、でも不安になるぐらい空気は重い。
しかし、それでも笑顔は素敵です。
「え?お、おお?」
「ナルミ、ミコト、この子たちがお前達の受け持ちの患者になる。ナルミはその顔で怖がらせず、ミコトは無理に頑張らずにやりたまえ」
そう言って話すレッシュさんに従って、私も私なりに頑張ろうと思い、フンスと胸の前で握り拳を作って頷いている間に鳴海お兄さんは仲良くなっていた。
やっぱり子供に好かれやすいんでしょうか?と考えながらも私の傍にやって来た女の子に目線を合わせるために座り、彼女の事を見つめる。
「おねえちゃん、お姫様なの?」
「フフ、みんなには内緒ですよ?」
「かわいい!」
私は発明品『着せ替えカメラ』を使って古典的な白いドレスを身につけたお姫様の格好に一瞬で着替えて、女の子を抱き締めてあげる。
勝君とも遊びたかったですね。
けど、今は
そう思っていたその時、ゾワリと背中に嫌な気配を感じて振り返るとルシールおばあさんともレッシュさんとも違う、別のしろがねが佇んでいた。
「糸色命、会えて光栄だ」
「こ、こんにちは?」
にっこりと微笑みを浮かべているけれど。
本物の笑顔じゃなくて、張り付けた作り物だ。それに絶対的な自信と他者を見下す優越感、他にも色々な感情が混ざり合っている。
なんだか苦手な人だ。
「ミコト、此方に来なさい。あまりソイツとお前は関わるべきじゃないよ」
「随分な言い方だな、先生」
「そう言いたくもなる。ケイと私は友達だからね、何かを伝えるにしても自分の友達の子供をアンタらに与させるつもりはないよ」
そう言うとルシールおばあさんは私の事を守るように抱き寄せて、目の前に眼鏡を掛けたしろがねの事を少しだけ警戒しているようにも思える。
その間も鳴海お兄さんは子供達と仲良くなっている。