ゾナハ病に感染した子供達との生活は始まり、私と鳴海お兄さんは事情聴取というより鳴海お兄さんは子供達の遊び相手を担当し、私は怪我や病気に苦しんでいる子供達のお世話を手伝っている。
お医者さんであるお母様のおかげで簡易的な治療や医療のお手伝いは出来るけど。他の職員の纏っているしろがねに対する敵愾心を感じてしまう。
「おねえちゃん、また魔法見せて!」
「フフ、良いですよぉ」
魔法と言っても発明品を使っています。
『魔法大辞典』。
この発明品は空白のページに魔法の名前や使用法、解除の方法を書いて特定の動作を作ると発動する素敵な発明品です。ちなみに名前を書いておけば、危ない魔法を誰かが勝手に使用する事は出来なくなります。
「ジー・ジルマ・マジカ」
そう呪文を唱えると彼女の抱っこしていたクマの縫いぐるみは独りでに動き始め、他の縫いぐるみと手を繋ぎ、くるくると踊り出す。
私としては普通に呼べば良いと思うものの、大百科に載っている暗号化された呪文を唱えるのは、なんだかワクワクしてしまう。
女の子は、いつまでも夢見る乙女ですね♪︎
「「「わあっ!!」」
キラキラとした目を動く縫いぐるみ達に向け、私と同じように手を動かす女の子達の笑顔に微笑みを向けつつ、ふと視線を感じて、そちらに目を向ける。
ジョージ・ラローシュ。ルシールおばあさんやレッシュさんとは違う、なんだか嫌な気配を感じるしろがねの彼が静かに私の事を見据えていた。
なんだか不安になる視線に縫いぐるみ達がファイティングポーズを取ってしまう。いけないいけない、子供の前で大変な事になるところだった。
「先日は失礼した」
「いえ、大丈夫ですよ」
子供達の隣に座ったラローシュさんは私の事を静かに観察し、僅かに視線が逸れて、私のお腹の方に視線を向けているようにも感じる。
「あの、なにか?」
「いや、その中には糸色家の秘宝が眠っているのかと考えていただけさ」
「ここにあるのは私の作ったものだけですよ?例えば、そうですねえ」
「ミコト、そう簡単に手の内を明かさない」
「ルシールおばあさん?」
私の頭を優しくポンポンと撫でて、絵本を読みに戻っていくルシールおばあさんに小首を傾げながら、ラローシュさんに謝って見せることは出来ないと伝える。
「そうか。残念だ」
「ごめんなさいね」
「?何故、君が謝る」
「なんとなくです。それにラローシュさんも私の発明品にワクワクしていましたから」
そう言うと考えるような仕草を見せて、すぐに彼は離れて行ってしまった。