【完結】からくりと踊り謡う薄命の花   作:SUN'S

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翼を失くして 破

「ツカサ君、また来たんですか?」

 

カシャッとシャッターを切る音を聴きつつ、私は研究室のテーブルに大百科を開いて置いたまま作業を続ける。ここ数日間にゾナハ病の進行を止めることが出来ず、私の血液型の一致する子供に輸血して無理やり進行を遅らせる行為を繰り返している。

 

抗ウイルス薬は完成していないけれど。

 

私の血液には特殊な効果───『癒やしの力』を宿していてヒーリングのように手を翳すより体内に直接注入して強める方が良いのかも知れない個人的に調べて、大体の事は解りました。

 

あと万病薬は特効薬にはならないけど。ゾナハ病の症状を一時的に鎮静する効果を発揮し、バンハート博士達に製造法を共有して作り続けている。

 

「只の中間視察だ。オレの渡した大百科に載っている道具を作って貰えているのかを確かめるのと、コイツを使えるようになりたいからな」

 

そう言ってツカサ君は九つのクレストを刻んだカードを翳して見つめている。確かコンプリートカードという名前の道具だと聴いています。

 

「このケータッチという発明品を起動するのに必要なんですよね。でも、そのカードと使用方法の分からない発明品の関係性を教えて欲しいです」

 

「まあ、オレの真骨頂を発揮するためだ」

 

「真骨頂?」

 

どこか楽しそうに話すツカサ君に小首を傾げながら「ケータッチ」の製作を再開する。ツカサ曰くこの発明品を作り出せるのは私だけ(・・・・・・・・・・・・・・・)だそうです。

 

他の糸色(・・・・)と違って、命の手先は神域に達する器用さだ。もしも科学者になるならオレの組織で雇ってやるぞ。どうする?」

 

「お断りします。もう私の人生は阿紫花英良という男性に捧げると心に決めていますし、あまり長生き出来る身体ではありませんから」

 

「まあ、そうだろうな。糸色は必ず断る(・・・・・・・)

 

私の答えに納得したツカサ君は満足げに頷きつつ、セーラー服と白衣を身に付けた私をレンズの中に収めるように二眼レフのカメラを構える。

 

「可愛く撮って下さいね?」

 

「可愛く撮るさ。世界はオレの物だからな」

 

「フフ、なんですかそれ」

 

彼の言葉にクスクスと笑いながら手に持っていた基盤を嵌め込み、しっかりとネジを締めて完成した発明品の汚れを拭き取っていたそのとき、けたたましく施設中に警報が鳴り響く。

 

「成る程、自動人形(オートマータ)の襲撃だろうな。病み上がりの貧弱なお前は動かずに大人に任せておけばいいと思うぞ」

 

「絶対にイヤです。私は目の前で危ないことが起こっているのに見てみぬふりはしません!」

 

ツカサ君は意地悪な人です!

 

 

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