雲の上を飛ぶ飛行機。
その窓際の客席に座って真っ青に顔色を悪くする私の事を優しく看病してくれるルシールおばあさんが小さく「アンジェリーナも風邪を引いたときは大変だったね」と懐かしむように呟いている。
その人もしろがねなのだろうか。そう思いながら背もたれに身体を預けていたその時、強烈な衝撃で身体は前のめりに倒れ、顔をシートにぶつける。
「ゔっ、ゔぇっ……ふぎゅっ!?」
いきなりすぎる衝撃に慌てて口許を押さえながら、私は辛うじて女の子の尊厳を守り抜く。こんな沢山の人がいるところで、況してやお友達のいるところで危ないことはやめてほしい。
揺れる飛行機に気持ち悪くなりながらも立ち上がり、鳴海お兄さんやレッシュさんと一緒に戦うために電光丸を引き抜いて構える。
侍とか忍者とか騒ぐのはやめてね?
「命、乗り物酔いのお前じゃ無理だ」
「ナルミに同意するのは癪だが、ミコトはルシール先生と一緒に下がっていろ。あの
「爆弾って、ここ飛行機ですよ?」
「その考えが甘いのさ。
そう言って私を呼ぶルシールおばあさんに従って移動する前にシャカシャカと吸入器を振り、お薬を飲んで最前線の操縦席に向かう。
その後ろで「逃げるな」や「戦え」なんていう声も聞こえるけど。ルシールおばあさんは無視して、乗客を引き連れて安全な前の場所まで移動しようとした、そのときだった。
時間が緩やかになる。
「糸色命、いずれ訪れるディケイドを倒すために君の力は必要だ。これは、君の家族を守るために必要となるライダーパスだ。失くさずに持っていてくれ」
「え?あの、だれ?」
眼鏡を掛けた旅行者の格好をした男の人が現れ、カードデッキに似たようなものを渡してきた。なぜ、みんなは私に道具やものを差し出すのでしょうか?
「ミコト、飛行機の操縦をしたことはあるかい?」
「い、いえ、無いです。私、まだ中等部ですから」
「そういえば、そうだったね」
「……なんで胸を見たんですか?」
「年不相応の成長に驚いているだけさ」
それを言ったら巓ちゃんもそうですよ?と思いながら操縦席に群がっている
「人手は多い方がいいね」
「そうでゔぇッ、うぷっ」
飛行機が傾いた衝撃で吐き気を催し、慌てて口許を押さえながら私は操縦席に近くで座り込み、吐き気を我慢するように深呼吸を繰り返す。