私の呼び掛けに応えるように身の丈を越える巨大な大鉾は空を飛ぶ
今まさに糸色本家の当主としての証「蛮竜」を私が握り締めて、しっかりと黒く鉄のように硬い大鉾の柄を掴んで私が蛮竜を持って使えている。
「それは、左之助の武器…!」
「高祖父様、そして御歴々の皆様、お借りします」
ゆっくりと異常すぎる程に私の手に馴染む蛮竜を軽々と振るうことの出来る身体に自然と笑みをこぼす。自由に動ける。自由に飛べる。
「人間が空を飛んだ!」
「バカが、そんなデカいの簡単に避けてやッ!?」
尾翼に張り付いていた
「フフ、フフフ、フフフフフ……!」
私だって戦える。
私だって強くなれる……!
その喜びに私は呆れてしまうほどに笑みを浮かべて、私めがけて迫り来る
「あえ?」
ボタ、ボタ、と鼻や口、耳、目から赤いものが流れ落ちていくのがゴーグル越しに見えて、ふらりと身体が傾き、空に向かって落ちていくのが分かった。
あ、あはは、失敗しちゃってたんだ。
空中浮輪も取れて落ちていく。折角、レッシュさんに止めるように言われていたのに、私ったら戦えるなんて意地を張っちゃって情けないなあ……。
「ミコト、手を伸ばすんだ!!」
「…ぁ……うっ…ッ、え……」
私を追いかけてきてくれたレッシュさんに申し訳なく思いながら手を伸ばしてしまう。でも、私の身体は蛮竜の重さに引きずられ、加速して落ちていく。
「加速しろ、オリンピアっ!!」
私の落下速度に追い付いたレッシュさんは蛮竜ごと私を抱き締めて、そのまま海の中に落ちる。私を助けるためにレッシュさんは、私と海の中に沈む。
えへ、へへ、自分の浅はかな行動に嫌気が差す。どうして、私はこうなのだろうと悩ましく思いながら、蛮竜を四次元ポケットに押し込んだ。
「ぶはっ、向こうは不時着したか……」
「ゲホッ、ゲホッ…!」
「全く無茶と勇気は紙一重だな。ミコト、あの武器を振るうなら生半可な勢いと気持ちじゃダメだ。死んでも守るという覚悟を決めろ」
「…けほっ、はい…ごめんなさい……」
「いや、いつも冷静な君を怒らせてしまったのは僕の言葉だろう。謝るのは僕だ、すまない」
私が我が儘で無茶をしたのに、ごめんなさい。