「命、無事だったか…!」
「……どうして、おとうさまが…」
ぼんやりと涙を流すお父様の姿を眺めていたそのとき、私は私のしてしまったことを思い出して、顔色を悪くしながら上半身を起こす。
才賀と糸色の経営する病院の病室だ。
子供の頃から私が使っている病室だと分かり、ほうっと安堵の吐息をこぼす。レッシュさんはいないのか、病室にいるのはお父様だけです。
「よう。目は覚めてたみたいだな」
「ツカサ君?どうして、あなたが」
「何を言っているんだ。お前を助けて救急隊が駆けつけるまで心肺蘇生を行っていてくれたのはツカサ君じゃないか。覚えて……いや、そうだったな」
「オヤジさん、大丈夫ですから」
そう言うとツカサ君はお父様と短く言葉を交わして、私と二人きりになることを望み、お父様もその言葉を素直に受け入れて病室を出ていってしまった。
入院着を身に付けている以外、何も抵抗できる道具を持っていない私は不安げに布団のシーツを握り締めて、ゆっくりと椅子に腰掛けるツカサ君を見つめる。
「私を助けてくれたのはレッシュさんです。貴方は飛行機に乗ってすら居なかったじゃないですか。それなのに、どうして?」
「まあ、言いたいことは沢山あるだろうが四次元ポケットは返しとく。アイツに発明品を盗まれずに済んで良かったな。リンゴ剥くぞ」
「彼は盗みなんて悪いことはしません。あと四次元ポケットはありがとうございます」
「どういたしまして、だ。しかし、まさか大暴れするとは予想外だったし、予定より数も行動もずれて向こうも困っているんじゃないか?」
あからさまに面倒事に巻き込まれたという態度を示すツカサ君にムッとなりながらもお腹に四次元ポケットを張り付けて、ポケットの中を確かめる。
蛮竜が見える。
「……写真?」
眼鏡を掛けた綺麗な和服の女性が何枚もある。少し跳ねた癖毛を整えたら叔母様やお母様に似ているような気もするけど。彼女の方が胸は大きい。
「ん?ああ、忘れた。返してくれ」
「この人はツカサ君の恋人さんですか?」
「いや、コイツはオレの
「長生きなんですね」
「……普通、嘘つきだと思わないか?」
「嘘なんですか?」
「年代は本当の事だ」
私の答えに呆れながら写真をジャケットの内側に仕舞ったツカサ君は「ついでに言えばお前も運命の線はオレと繋がっているぞ」と言い残して、ツカサ君は灰色の壁の中に消えてしまった。