私はムーンフェイスさんに『着せ替えカメラ』を使って貰い、いつものセーラー服に着替える。まだ足に力を入れて動くことは出来ず、空中浮輪を使って身体を浮かせて移動を続けているといつの間にかムーンフェイスさんは消えていた。
「……森の中を一人で歩くのは怖いです」
「そうかい。なら、手をお貸し」
「へ?」
ぎゅうっと、いきなり右手を掴まれたことに驚きながら後ろに振り返るとルシールおばあさんが、全く知らない女の人と男の人を連れて歩いていた。
鳴海お兄さんも一緒だけど。
やっぱりレッシュさんの姿は見えず、まだ日本に取り残されているのかも知れない事に気付く。いや、そもそもツカサ君はレッシュさんに会っているのかな?
「命、ギイのやつは?」
「大丈夫です。今は日本の病院ですから」
「そうか。それと、バカヤロウが!」
「ふぎゅうっ?!!」
私の言葉に安堵した鳴海お兄さんはクシャリと大きな手で私の頭を優しく撫でた後、ゴチン!と少し力を込めたゲンコツを落としてきた。
いきなり殴られたズキズキと痛む頭を押さえつつ、誰かに殴られるという初めての出来事にビックリしながら目尻に涙を溜めて鳴海お兄さんを睨み付ける。
女の子には優しくするものなんですよ!?
「ミコト、今のはお前を心配していたあたしとナルミの想いだよ。無闇に誰かを睨み付けず、今はその痛みで生きているという実感を持ちなさい」
そう言うとまた優しく頭を撫でてくれた。
「……いい加減、紹介してもらえる?」
「あっ、初めまして。才賀命と言います、鳴海お兄さんやルシールおばあさんと一緒に暫くの間ですが、一緒に旅行していた同行者です」
「私は
「まあ、妹みてえなもんだよ」
「(確かにお兄さんはしろがねさんと睦まじかったので義理の義理の兄妹になる可能性も有り得ますけど。きっと、この言葉も無自覚に言っていますね)」
そう一人で納得しながら暗くなり始めた森の中を歩かず、私はキャンプ用の発明品を幾つか取り出して、ルシールおばあさん達に『キャンピングハット』を展開し、部屋を一つずつ差し出す。
「日本って、こんなに進んでるの?」
「その子が可笑しいだけさね」
「ひ、ひどいです!」
「命、騒いでないで入ろうぜ」
ルシールおばあさんに抗議するも鳴海お兄さんに遮られてしまう。うぅ、なんなんですか?私って、やっぱり迷惑だったんですか?と聞きたい気持ちを募らせる。
でも、レッシュさんが戻ってくるまで絶対に引きません。少しでもご迷惑を掛けた分、お返ししておかないといけないんです。