Fate/stay night×星のカービィ(仮) 作:ドコモ
1:季節外れのはるかぜ
一月の終わりの某日、魔術師遠坂凛は自室にいた。後見人である言峰綺礼神父の嫌味に満ちた留守電をたたき切り、
「とうとう、この時が来たのね……。ったくあの似非神父、わざわざ言われなくても分かってるってのに。最優のセイバークラス、絶対に私が召喚して見せるわ」
聖杯戦争、それは七人の魔術師が至高の神秘たる聖杯を求めて互いに争う戦争である。凛は、聖杯戦争を創始した御三家の当主の一人としてこの争いの渦中に飛び込もうとしているのだ。
聖杯戦争は英霊の座に登録されている英霊を召喚し、サーヴァントとして使役して争う。当然、より強いサーヴァントを召喚できた魔術師が、聖杯戦争においては有利に立てる。そのため、凛は七騎いる英霊の中で“最優”と謳われるセイバークラスを召喚しようとしているのだが……
「でも触媒はどうすれば……、お父様のペンダントはチェーンが切れちゃったし……。これでも触媒として機能するのかしら?」
サーヴァントを呼ぶ
凛が、なけなしの時間で何とか見つけた亡き父の遺品であるペンダント、そこには歴代遠坂家当主がため続けた膨大な魔力が込められていた。凛はこれを英霊召喚の触媒に使えないかと考えていたが、つい先刻チェーンが切れてしまった。損傷してしまった魔術礼装を触媒として使えるのだろうか?椅子の上で凛がしばらく悩んだ末に出した結論は――――
「ええい、もうどうにでもなれ!私なら、触媒なしでもセイバークラスを召喚できるはず……!!そもそも、私以外の魔術師がセイバークラスを使役できるとは思えないし」
凛はそのように結論付け、ペンダントを机に置き地下室へと向かった。凛と共にこの聖杯戦争を戦い抜く英霊を召喚するために。
◆◆◆◆◆◆
「――――告げる。」
英霊召喚の詠唱を始める。全身の魔力回路を励起させ、全神経を詠唱に集中させる。膨大な魔力が実体をなし、地下室に突風となって吹き荒れる。
凛には願いがあった。そこには一族の悲願として聖杯を手に入れることも含まれてはいたが、それだけではなかった。ただ知りたかった、父が死ぬ理由となった聖杯戦争を。より詳しく言えば、聖杯戦争を知ることで父の死に理由を見出したかったのだ。
そのような思いを胸に秘めながら、詠唱は滞りなく進んでいく。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!」
詠唱を終え、流星の煌めきのような眩い光に目を焼かれながら、凛は思う。
『かんっぺき!!絶対に最強の英霊を召喚した……!さっすが私、触媒がなくてもこんなに上手くいくなんて!』
十分すぎる手応えと溢れんばかりの期待に包まれながら、凛は視界が回復するのを待ちわびる。
目の前にどのような英霊がいるのか、不安と期待を抱きながら目を開けた先には……?
「あれ……?」
回復した視界の先に広がっていたのは、召喚前と変わらない地下室。凛が目を開けたらそこにいるはずだった英霊はそこにはなく、ただ目の前には無機質な壁があるだけだった。
「まさか失敗した?でも、魔力はちゃんと消費されていたし召喚は確かに行われたはずなのに――――ん?」
いや、何かが召喚陣の上に横たわっている。これは――――なんだ?
ピンク色の饅頭?というかそもそも生き物なのか??しかも紫色の帽子をかぶっている???
召喚陣上の謎の物体は、凛をひどく混乱させた。
一体なんなのだろうか?凛がそう思っていると、その物体のほうから反応があった。
「ぽよ~…?ぽよっ!!はぁい!」
『え、生き物?というか、まさかコイツが私のサーヴァント???いやでも、そんなわけ……』
凛は、信じられない思いと信じたくない気持ちのまま、目の前のがっつり魔力のパスが繋がっていそうな桃球に問いかける。
「え~、まさかとは思うけど……あなたが私のサーヴァント?」
「はぁい!!カービィ!カービィ!」
返ってきてほしくなかった、とても強い肯定を受けて凛は――――
「なんでよ~~~~~~」
「ぽよぉ?」
世は無情である。
どうやら凛は、英霊かどうかも分からない謎の生き物を召喚してしまったようだ。
『拝啓、お父様。凛は、まともなサーヴァントすら召喚できないようです。これからどうなってしまうのでしょう』
嘆く彼女はまだ知らなかった。自分が召喚したこの謎の生き物が、地球だけでなく全宇宙にとっての英雄、“星のカービィ”であることを――――
真名:星のカービィ
身長/体重:20cm・不明
出典:不明
地域:ポップスター
属性:中立・善 副属性:星 性別:不明
「はぁい!」